ファーストクラスやビジネスクラスに安く乗れるという「以遠権フライト」(Fifth Freedom Flights)とは何か?のメモ。

「以遠権」について、ちょこちょこ見てたんだけど。
特に成果もなく(欲しいチケットもなく)。
ちょっとメモにて。

「以遠権」とは何か

「以遠権」を簡単にいうと、、、
航空会社が目的地に向かう途中、経由国でお客さんを乗せる権利。
(経由地→目的地間で、商売する権利)。
以遠権 – Wikipedia

例えば。
米デルタ航空のシアトル→台北の路線。

シアトル→(成田で機材変更)→台北と、日本の成田を経由する。
お。せっかくだから、「成田から台北に行きたい客」も、途中で拾って空席を埋めちゃおうぜ。
みたいな。

「以遠権」がどの国の、どの航空会社に認められるかは、二国間交渉とかで決まり、政治の世界の話になってくる。

実際の航空交渉においては、自国の航空権益を守ったり、航空会社を育成する立場から、政治的な駆け引きが行なわれる。
この政治的な駆け引きには、二国間の力関係も大きく作用することから、本来は権益の平等な許与が原則であるにもかかわらず、不平等な内容になることもある。

以遠権 – Wikipedia

日本に関係するところで、具体的にいうと?

↑例のデルタとかユナイテッド、つまりアメリカの航空会社は、日本に対して無制限の以遠権を持っていた。
今でも、デルタやユナイテッドは、日本発→アジア(中国やシンガポールなど)の以遠権フライトを売っている。
http://ja.delta.com/content/www/en_US/shop/deals-and-offers/asia-pacific.html
https://www.united.com/cms/ja-JP/content/deals/offers/pages/lowfarestoasia_jp.aspx

日本のANA・JALは、アメリカ発の以遠権フライトを(少なくとも今は)持っていない。
(昔は、アジア発とかならANA/JALも以遠権フライトがあったらしいが、今はない模様)
http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/airline/1412578133/

日米の以遠権は、いつ、どこで決まったのか?
1952年の日米航空協定(の流れ)で決まったらしい。

日本にとって国際航空上、最も重要な二国間関係は日米関係であるが、1952年に締結した協定は米国企業に無制限の以遠権を認め、1959年の秘密合意議事録は米側先発企業について既存路線の増便を原則自由・事後審査とする一方日本側企業には増便の自由を与えないとするなど不平等な内容であったため、改定の努力が続けられ、1998年の暫定合意により一応形式的平等を達成できた

航空協定 – Wikipedia

まぁ、1952-59年だもんなぁ。

「1998年の暫定合意により一応形式的平等を達成できた」というのは、↓のことかな。

1998年に日米航空協議において、以遠権についても日米3社ずつと平等化が図られている

以遠権 – Wikipedia

その後の状況は?

オープンスカイを始めとした一連の規制緩和の流れの中で次第に以遠権も規制から外れるようになってきている。
現在の日本での以遠権は、米国航空会社を除き首都圏空港以外の空港で認められている。
オープンスカイは首都圏空港でも進行しているものの、発着枠の確保がなかなか厳しいことが背景にある。

以遠権とは・観光用語集 – JTB総合研究所

オープンスカイの流れの中で、以遠権も認められつつある、と。
ただ、今は昔に比べて燃油効率があがって長距離の直行便が可能だし、そーゆーフライトを作ることも減ってきた模様。

首都圏空港の「発着枠の確保がなかなか厳しい」という意味では、羽田発着枠の議論でデルタ航空がやきもきしている話とかは以下。
羽田から昼間帯の米国便が飛ばない事情 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

自分がもともと「以遠権」という言葉を知ったのは↑の東洋経済の記事で。
なんだろうな?と思って、ちょくちょく調べたりしてて。

それで、英語でなんて言うんだろう?と思ってたら、「以遠権」≒「Fifth Freedom Flights」なのね。
(英語的にあってるかは知らないけど、実用上、というか検索上は。)

「空の五つの自由」の「Fifth Freedom Flights」(以遠権)

「以遠権」は、シカゴ条約で定義された運送権の5つのうち、5番目の権利(Fifth Freedom Flights)にあたる。

現在の国際民間航空制度は、1944年のシカゴ会議での航空協定と、1946年に米英問で締結されたバミューダ協定が基礎をなしている。
米国と英国が主導して52力国が参加して開催されたシカゴ会議では、「国際民間航空条約」(シカゴ条約)が採択され領空主権が明文化されるとともに、運送権が5つに分けて定義された。これらの運送権は、「空の自由」(Freedoms of the Air)と称され以下のようなものがある。

第1の自由…他国の領域を無着陸で横断する権利
第2の自由…燃料や食料の補給など技術上の目的により他国の領域に着陸する権利
第3の自由…自国から他国国内への貨客の商業運送(収入を伴う運送)の権利
第4の自由…他国から自国への商業運送の権利
第5の自由…自国の航空企業が他国とその他の国の間にまたがる第3国間の商業運送を行なう権利

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sisj1986/1992/7/1992_7_46/_pdf

今だと、この5つからさらに増えて、9つあるらしい↓
f:id:tonogata:20160418230621p:plain

Freedoms of the air – Wikipedia

↓図も参照。

f:id:tonogata:20160418231926p:plain
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/committees/report/event/20100722_6b.pdf

「以遠権フライト」のメリットと一覧など

以遠権フライトのメリットは、

  • (半端区間なので)安く売り出されることがある
  • 地元では珍しい航空会社に乗れる

みたいなトコロらしい。

特に、ビジネスクラス・ファーストクラスに安く乗りたい、という場合に便利なようで。
例えば、昨年末の「旅行完全ガイド」(monoqlo)では、エミレーツやタイ航空のファーストクラスに、7万円で乗るという以遠権フライトの体験記事があった。
(日本発着路線ではない)

まぁ、本を買わなくても、「以遠権 ファーストクラス」「以遠権 ビジネスクラス」でググれば、いろいろ出てくる。
英語で探す場合は「Fifth Freedom Flights」。

以遠権フライトの一覧は、以下など参照。
日本だと、東京・大阪・名古屋発の以遠権フライトの記載がある。
5th Freedom Flights – flypointyend
※以遠権フライトが必ず安いわけではないので注意

このリストの網羅性のほどは分からないが、半年以上ウォッチしてる感じだと、多少遅れつつも更新はされているので、ありがたく参照させていただいている。

まとめ系だと、NAVERとか。
http://matome.naver.jp/odai/2145502178178314001

あと、wikiの下の方にもにもちょっと書いてある。
以遠権 – Wikipedia

ちなみに、世界でもっとも長い以遠権フライトは、チャイナエアラインによる関空-ニューヨーク路線らしい。
(少なくとも、↓記事の時点では)

Top 15: Longest Fifth Freedom Flights in the World | Weekend Blitz

それはともかく。

自分は、SFC/JGC修行に使えるのはないかな?と思ってたんだけど。
日本発着で楽なヤツ+PP/FOP的に良さげなの、がなさそうなので諦めた。

その流れで言うと、最近の日本発着の以遠権フライトでは、2015/9にエチオピア航空の成田-香港間が予約可能になったんだけど。
エチオピア航空、成田/香港間の販売開始、9月6日から | 旅行業界 最新情報 トラベルビジョン

アディスアベバ-(成田経由)-香港という路線がもともとあって、日本・中国の認可が下りて「成田-香港」の販売ができるようになったという話。

せっかくの日本発着な以遠権フライトなんだから、SFC修行に使えるかチェックしようと思ってたのが。
ちょっと見て、「んー」と思ってスルーしてた。

今回、改めてチェックする機会があったので、それをメモってて、、、

多少は前段も?とか思ってたら、ずるすると↑のくだりになった。
なげぇ。
前置きなげぇ。

それでまぁ、エチオピア航空の話。
(結果としては別にアレなんだけど)

最近の事例(エチオピア航空)

「エチオピア航空」は、ANAと同じスターアライアンスで、ANAにマイルやPPを貯められる。
以前はどんな安いフライトでも100%ついたらしい。
2015/9からは、エコミーは30%~70%になっている。
エチオピア航空〔ET〕 | 提携航空会社 | マイルを貯める | ANAマイレージクラブ

自分の興味の範囲から、ビジネスクラスのチェックにて。

まず、成田-香港の区間マイルは1800くらい。
ビジネスクラス(125%加算)で、2,278PP。
往復で、4556PPかな。

エチオピア航空からANAに加算した場合、、、
残念ながら、搭乗ポイント(400)は対象外の模様。
プレミアムポイントとは | プレミアムメンバーサービス | ANAマイレージクラブ
当然、路線倍率1.5倍も対象外。

さて。

エチオピア航空のビジネスクラス(Cloud9)のチケット価格は・・・

7.3万円。

NRT-HKG、ビジネスクラスのPP単価。
ANAの場合と比べてみる。

エチオピア航空 ANA
チケット 7.3万円 14万
獲得PP 4556PP 7636PP
PP単価 16円 18円

※エチオピア航空は路線倍率1.5倍ナシ、搭乗ポイントなし

なんというか、どっちもどっち・・・

まぁ、アジア路線で他社便とか、効率悪いよね、、、。
路線倍率がつかないから。

エチオピア航空の以遠権なアジア路線だったら、クアラルンプール→バンコクの方が短距離路線のビジネスとしては安い。
ただ、PP単価は良くない。

KUL→BKK

ビジネスで3.6万円。

エチオピア航空

チケット 3.6万円
獲得PP 1800PP
PP単価 20円

※BKK発券よりKUL発券の方が安い

やはり、近すぎか。。。

そんな感じ。

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