「マイル修行の時代は終わった」?米ニューヨーク・タイムズの記事をチェック。

米ニューヨークタイムズで、アメリカでの「マイル修行」(MileageRun)の動向について解説する記事が出てました。

The Fadeout of the Mileage Run(The NewYork Times)

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掲載されてるのは「UpShot」というコーナー(というかWeb)で、今年の4月に開設。
「better navigate the news using data, graphics and technology.」
政治経済について、データやグラフを使って分かりやすく、みたいな。

さて。

ちょっと気になったので、内容をチェケら。

まず前提としてあるのは、2014年に始まった米系エアライン「デルタ航空」と「ユナイテッド航空」のマイル制度改正っすね。

ざっくり言ってしまうと、今までは基本的に

もらえるマイル(≒エリートステータス)=飛行機に乗って飛んだ距離

という制度だった。

このため、「航空距離が長いのに安いチケット」を探して乗れば、「獲得マイル」や「エリートステータス」が比較的ローコストで手に入る。
これが、「マイル修行」(MileageRun)。

こーした修行(run)は当然、エアライン側にとって好ましくない。

そして制度改正へ。。。

2014年に起きたマイル制度改正の話は、以下など参考にて。

まぁ、上では「改悪」と言ってるけど、修行自体は一般に迷惑な話であるので(やってるけど)、当然といえば当然というか、まーそうなるよね、みたいな。

あと、日系のJAL/ANAがこの動きに追随するかは不明です。
米系でも「アメリカン・エアライン」は一応「(そーした制度改正は)しない」と表明してますしね。
とはいえ、結局のところ「大きな流れ」の始まり、なのかもしれず、、、という感じ。

それで、「The Fadeout of the Mileage Run」について。

ちょっと記事の内容を。

The core logic behind mileage runs is that airline points have a relatively fixed value, but the cost to accrue them can vary widely, so a low fare for a long trip can reap outsize rewards.

マイル修行(mileage runs)の肝は、マイルは固定なのに、そのチケットの価格には幅広い選択肢がある、という点からくる。
つまり、安くチケットを買えば、望外のマイルが獲得できる。

Mileage running arguably makes sense for some travelers, that is, the sort of people who don’t mind spending a weekend on airplanes going nowhere in particular.

こうした(マイル獲得の効率重視で、現地滞在時間が数時間のような)行程は、(せっかくの)週末を飛行機に乗って過ごすことに抵抗がない人々にとって、「マイル修行」としては成立する。

the Mileage Run forum on FlyerTalk, an online travel discussion board, has generated more than 24,000 threads.

「マイル修行」は1つのサブカルチャーのように形成され、「FlyerTalk」のようなネット掲示板には24,000ものスレッドに人々が書き込んでいる。

But mileage running has never made much economic sense for the airlines.
(中略)
And increasingly, they aren’t.

しかし、こうした行為は航空会社にとって、なんの経済的恩恵もない。
そして、マイル修行は(洗練されてきて)、ますます航空会社にとって客に期待する行為(購買行動)とはかけ離れてきている。

ふむ。

で、まぁ後はデルタ・ユナイテッドの変更の話など。

この制度改正の流れについて、「View From the Wing」(米系ブログの有名どころ)のコメントをひいてます。
曰く、「この10年でマイル修行が難しくなった3つのポイントがあった」。

  1. 航空運賃は上がり、どこも満席になり、格安チケットを探すのが難しくなった
  2. マイル特典に必要なマイル数は引き上げられ、マイルの価値が減少した
  3. 航空会社は以前のように大きなキャンペーンを実施しなくなった

なるほど。

In many cases, they were already a much less attractive thing to do,(中略) mileage runs will continue to be useful for travelers who are within a few miles of reaching the next elite status tier
(View from the Wing)

マイル修行は、今ではそれほど魅力的な選択肢ではなくなりつつある。
しかし、あとちょっとで次のエリートステータスに届くような人々にとっては、有効で有り続けるだろう。

Travelers who want to keep their mileage run options open have a home, for now: American Airlines,
(View from the Wing)

もし、マイル修行をしたいなら、アメリカン・エアラインが残されている。
(USエアウェイズとの合併に向かいつつあり、合併された後にはどうなるか。。。)

※2016/08/04追記
アメリカン航空も支払金額ベースに移行した。
https://www.bousaid.com/2016-08-04-081344/

ということで。

ちなみに、コメントを寄せている「View from the Wing」側が、このニューヨークタイムズの記事に関連してアップしている内容はコチラ。

Here’s When You Should Still Mileage Run – Even Though Mileage Runs are Dead – View from the Wing

The ‘pure’ mileage run, the straight turnaround in an airport, never made sense to me

もはや、どこかの空港に行って、数時間過ごして戻ってくるような、ピュアなマイル修行には、なんの価値も感じくなった。

Mileage running for status from zero never made much sense to me.

ゼロベースからの修行もやらないだろう。
(あとちょっとでエリートステータス、とかを除いて)

Though some have disagreed with my take that the ‘era of mileage running is over’ (which is different than saying there are no mileage runs that could ever make sense), I think it’s really fair to say that 2014 is very different than 2004. The idea of the mileage run has gotten gradually less rewarding.

「マイル修行」は『終わった』という意見に、同意しない人もいるだろう。
正確には、もうmake senseしないって感じなんだけど。
そういう意味では、少なくともこう言えるかもしれない。
「2014年は、以前とはもう違う」。修行で得られる恩恵はほとんどなくなった。

なるほど。

ということで、米系だと他のブログも含め、割と「以前とはもう違う」感が高いようですね。

翻って、日本はどうなんすかね?

日系は今のところ、マイル制度を「支払金額ベース」にしていない。
「する」という情報もない。
しかし、そのうち「する」かもしれない。
「しないかも」しれない。

2014年は、JALがFOP2倍のキャンペーンをやってて、JGC系をやってる人が増えたのかな?
そーゆー意味では、いつ終わるか分からないにしろ、平常運転をしていたのがJAL@2014年だったのかな、と。

ANAに関しては、SFC修行のメジャーな手法として取り込まれていた海乗SPが、2月に大きな制度変更を実施。
http://www.ana.co.jp/int/airinfo/promotion/dom_transit/
かなり厳しくなった、のかな?
もしくは、「まだ辛うじて残っている」と言えるかもしれない。

2015年はどうなるもんかな。

まぁいずれにしろ、長い目でみれば、米系と同じような制度変更をしそうな気がしないでもないが。。。
根拠は特にない。

ふむ。

そんな感じで。

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