SF小説賞のヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞して、更に世界幻想文学大賞も受賞したという、「紙の動物園」(短編集)を読んだんですよね。
これは、もう、、、
良かったですよね。
評判通り。
割と誰が読んでも泣けるんじゃないだろうか。
つまり、泣ける短編とか入ってるんだけど。
特に表題作の「紙の動物園」。
ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。
ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか
お母さんが息子のために、折り紙に命を吹き込んで。
折り紙の虎や水牛がひょこひょこ動き回って・・・という「紙の動物園」。
全米(ワールドコン登録者とSFWA関係者)と、全俺が泣いた。
作家のケン・リュウは、中国系アメリカ人。
中国的なモノとか日本的なモノとか、日本人にも文化的に近しい設定が多く、読みやすかった。
SFなのに。
これは割と希有な読書体験。
作風は、東洋の伝統を下敷きにした細やかな情感を特徴とする。
自身の出自である中国文化を背景にした作品も多い。
また、日本での初翻訳となった「もののあはれ」のように日本人を主役とした作品もある。
収録されている「もののあわれ」は、日本の漫画「ヨコハマ買い出し紀行」に啓発されて書いたらしい。
中国系作家がSFの最高賞を受賞、小説の背景は日本文化―中国紙|レコードチャイナ
懐かしい。。。
癒やし系SF漫画の「ヨコハマ買い出し紀行」ですか。
久々に思い出した。
同じく収録作品の「良い狩りを」。
訳者の後書きに「個人的に一番のお気に入り」とあった。
自分もこれが面白かったかな。
ちょっと哀しい話ながら、意外な展開とか。
主人公の少年と妖狐の娘の関係、距離感も良かったですよね。
時代の流れと、男女の距離感と、モノローグ。
そこら辺は、ウォン・カーウァイの最新作「グランドマスター」を思い出した。
関係ないが、「グランドマスター」もメチャクチャ良い映画だと思うんだけど。。。
カンフーアクションを求めて観た人が「がっかり評価」をしていて。
まぁそーなると、アレですよね。しょうがないよなぁ、と。
アクションじゃなくて、ウォン・カーウァイとして観たら、マジ圧巻なスゴク良い映画だと思うんだけど。。。
ウォンカーファイの突き詰めた、「スレ違いの美学」の新たな到達点、みたいな。
話がそれた。
あと、収録作には、ただ単に哀しい話とか、あった。
「文字占い師」とか。
良くワカランというか、読み飛ばした短編もあった。
まぁ、色々です。
ただまぁ、トータルでみて、「良い本だったなぁ」と。
そう思える本でした。
「ダブルクラウン(ダブル受賞)」と思ってハードルをあげて読むと、意外にハマらなかった、というコトも多いけど。
これは、読む前にハードルあげても、面白かった。
少なくとも、いくつかの短編は。
オススメ。
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