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映画「マイレージ・マイライフ」(Up in the Air)。そして1000万マイルを達成した修行僧は、夜空の星となった。

動画

映画「マイレージ・マイライフ」(Up in the Air)を観たんですね。
数年前の映画ですが。
マイレージ、マイライフ - Wikipedia


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その映画の存在は知っていたんだが、普通のアメリカン・コメディだと思ってた。
当方、アクション映画以外はあまり観ないので、スルーしてたんだけど。
マイル修行僧の映画ということで興味を持ち。
実際に観てみたら、これは素晴らしい映画だったな、と思いまして。


メモにて。


以下、詳細にて。



「マイレージ・マイライフ」の概要


主人公は、ビンガム(ジョージクルーニー)。
企業のリストラを請け負う会社で働く。いわゆる「解雇宣告人」。
顧客の会社に赴いて会議室に陣取り、対象者を一人ずつ呼び出し、クビを言い渡す。
腰の引けた、顧客企業の上司や人事に成り代わって。


ハードな仕事だ。
クビを言い渡された社員は、家族の写真を取り出して涙ながらに訴え、或いは「死んでやる」と逆上して椅子を蹴っ飛ばす。
ビンガムはそれに対処しながら、手短に言い放つ。
「今日中に私物をまとめて、オフィスから出てください」。


ビンガムは、自分の仕事をこう表現する。
「この仕事は、見ず知らずの人達から生活の基盤を奪い去り、絶望の縁に突き落とす。
その『絶望』を少しでも和らげることが、俺たちの仕事だ」


例えば、「今後どうすれば」と戸惑う社員の経歴書から、彼が本当にやりたかったことを掘り当てて、「次」に目を向けられるように示唆する。
時には、逆上して罵ってくる相手の目を見ながら冷静に説得し、どうにか「クビになったこと」を受け入れてもらう。


誰かがクビを言い渡す必要がある。
できれば、それを上手くやれる人間が。
ビンガムには、この仕事をやりこなす才能があった。


レイオフが吹き荒れる米国で、この事業は大きく成長していった。
ビンガムは米国中を飛行機で飛び回り、1年間の300日以上を出張で過ごした。
もはや、「家」=「機内」。


またビンガムは、飛行機に乗ることにまつわる、全てのディテールを愛した。
空港ラウンジの安っぽい寿司や、上級会員に与えられた優先チェックイン、etc。
旅に必要最低限のものをスーツケース1つにパッキングし、モットーは、、、
「バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない」。


カードケースに各種の上級会員証を束ね、素早く取り出して機械に通す。
するとモニターに映る上級会員のステータスをみて、受付嬢がニッコリ。
「おかえりなさい。ビンガム様」。


目標はライフタイムマイルで、1000万マイルの到達。
史上7人目、最小年齢での達成。
あと少しで、その1000万マイルに到達するが、、、



1000万マイルに到達すると、何がおきるのか?


さて。


1000万マイル。


映画の中では、機上で1000万マイルに到達したビンガムにシャンパンが手渡され、機長が隣に座って祝ってくれる。


実際はどうだろうか?


航空会社では、「ライフタイムマイル」(LTマイル/生涯マイル)という制度があったりする。
1歴年でなく、生涯のうちにどれだけ、その会社の飛行機に乗ったか。
1000万マイルというのは、この「ライフタイムマイル」での達成の話になる。


例えばANAなら、LTマイルが200万マイルになると、スイートラウンジが永久に無料。
ANA「ライフタイムマイル」への「特典航空券」時の加算 - やじり鳥


JALにも、「JGC Life Mileage」という制度がある。
JALマイレージバンク - JGC Life Mileage


ただ、こうした通常の制度は「100万マイル」単位での設定。


1000万マイルは、さすが桁が違う。


こうした1000万マイル達成向けのサービスは、詳細が公表されていないが実在するらしい。


米国ユナイテッド航空で、1000万マイルを達成した人のインタビューがある。
Traveler flies high with 10 million miles - CNN.com


ユナイテッド航空の場合は「Global Services program」というサービスというらしい。
専用の従業員400人を各空港に配置し、Global Services顧客をモニターし、保安検査所の特別な通過を案内したり、飛行機が遅延した場合のバックアッププランをあらかじめ練ってくれている。
Inside United's Secret Club for Top Fliers - WSJ


アメリカン航空の場合は、サービスの詳細は不明だが、「チタニウム製のカード」がもらえるとある。
Up in the Air Fantasies: What Does 10 Million Miles Get You? - TIME


日系のJALに関しては、到達条件等は不明ながら、「メタル」というステータス?があるのとのこと。
JALの幻の会員ステータス「メタル」は存在した!最高峰の「ダイヤモンド」よりもランクが高い、「メタル」会員が受けられるサービス内容とは?|おすすめクレジットカード比較|ザイ・オンライン


まぁ、いずれにしろ、一般人には関係のない話ではある。
まさしく、雲上の話。


なお、この映画で主人公は、主に国内線に搭乗しているのかな?
米国だと国内線でも距離が稼げそうだが、これを日本国内に置き換えると、JALの回数修行(50回/年)に近いかもしれない。
レベルが全然違うけど笑
JALマイレージバンク - サービスステイタス一覧:サービス一覧



映画の感想など(ネタばれ含む)


まぁ、所感にて。
本編結末に言及するネタばれになりますので、ご留意ください。


ライフスタイルが多様化した時代。
それぞれライフスタイルで、求めたモノが遂に得られた後の現実であったり、容赦なく奪い去られた時の悲嘆であったり。
そして、異なる生き方を選んだ人々の、支え合いであったり、すれ違いであったり。
互いの価値感を理解できないながらも、手をさしのべあう姿が、なかなか味わいのある作品でした。

アレックス


主人公と同じく飛行機の出張族で、旅先で偶然ビンガムと出会うことになる女性、アレックス。
子供が欲しいと願い、その幸せな家庭を手に入れた。
しかし、その家庭生活という現実の合間、出張中の空港やホテルでのみの「割り切った関係」としてビンガムを求めていく。
「何のために僕を?」というビンガムに、アレックスは答える。
「現実のはけ口なの」。


一方で、頼まれれば「割り切った関係」を超えた優しさも見せた。
ビンガムの妹の結婚式に参加したり、ビンガムの育った学校に一緒に忍び込んで、ビンガムの思い出話をきいてあげたり。
それは彼女が決めた「スタイル」を持続するための、一種の折り合いではあった。
ビンガムが一線を越えてアレックスの「家庭」を訪問した後でもなお、アレックスはそれを許した。

ナタリー


ビンガムの会社に入社してきた新人女性。
彼氏を追いかけてオマハで就職し、その後長すぎる出張の果てに彼氏とすれ違い、決別。
出張をしなくても済む「画期的な方法」を上司に進言し、上司の信用を勝ち取ってプロジェクトを進めていく。
目標の1000万マイル直前のビンガムにとって、「出張がなくなる」ことは何としても避けたい事態だが、、、


誰とも一定の距離をおいて独身で、仕事と趣味に生きるビンガムの考え方を非難する。
「責任から逃げているだけでは?理解できません」
ビンガムは「そうだろうな」と答える一方で、仕事である「解雇宣告人」のイロハを教育しつつ、先輩としてナタリーの成長を見守っていく。


やがてナタリーは、精神的にハードな仕事の重責に負けて、あっさり退社。
メール一本で勝手に退社するなど、なかなかの現代っ子ぶり。
ナタリー的には彼氏との決別後、オマハにいる意味はなくなっていたし、仕事をするならもっと都会で。
それなりに筋は通っている。
しかしビンガムは、ナタリーが転職活動する際にも、推薦書を書くなどナタリーの行く末を慮った。

ビンガム


1000万マイルは達成した。
ナタリーの退社で、愛していた飛行機と空港とホテルの出張生活が戻ってきた。
自分が情熱をかたむけられる仕事と、マイル修行のライフスタイル。


一方アレックスとの出会いで、「空っぽのバックパックに入れるべきもの」を見つけたと考えるようにもなった。
遂にライフスタイルの変更か?


しかし実は、アレックスは家庭持ちで、「割り切った関係」のみを求めていたという現実に直面。
その時、ビンガムは、、、


夜空の星となった。


映画の中で本人が言っているので、そうなんだろう。



まとめ


現代っぽいリアリティで、非常に良かった。
そして主人公は、あろうことか「夜空の星」になった。


そこに着地したか!という。
いや、厳密には着地していないんだけど。
星だけに。


久々に面白い映画だったな、と。


そう思いました。


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