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勝手にビジネスクラス席に移動した客が逮捕された。その事例から学ぶ、飛行機と重心と墜落の関係

飛行機事故

2015年の7月。
中国南方航空


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悪天候のため、中国の深センから上海に向かう便は、3時間の待機を余儀なくされていた。


乗客達は、苛立っていた。
3時間も遅延するなんて!


悪天候もおさまり、ようやく離陸の準備が整う。
その時、一部の乗客達は、こう考えた。

  1. 3時間も遅れておいて、何の補償もナシなのか?
  2. ムムッ。ビジネスクラスの席がずいぶん空いてるな?
  3. 3時間も遅れたからには、座席のアップグレードぐらいはするべき
  4. だって、ほら。それくらい、当然だろう?

※当然ながら、本来の規約上は顧客が要求できるモノではない


彼らは勝手に席を移動し、広々としたビジネスクラスに陣取った。


当然、CAは「本来のエコノミークラス」に戻るよう説得を試みる。
「エコどもは後方席に帰れ」(テルー/ゲド戦記)


ほとんどが応じたが、3人だけが後方のエコにミーに戻るのを拒否した。


ともかく飛行機はそのまま出発し、上海に到着。
到着したその場で、エコノミーに戻らなかった3人は逮捕された。


ふむ。


この話のニュースは↓にある。


www.dailymail.co.uk


まぁ、業務妨害か何かですかね。


それはともかく。


航空会社側のコメントで、

a plane is more likely to crash if passengers re-arrange their seats
だって乗客が勝手に席を移動すると、飛行機が墜落する可能性が高まるんだぜ?

とあるのが気になった。


おお。
そうなのか。


・・・。
そうなの?


客が勝手に席を移動したら、飛行機墜落の可能性が高まるの?
マジで?


ちょっと気になって調べてたら。
飛行機というのは、重量はもちろん、「重心」を計算するというのが、非常に重要なのだと知った。


というより。
「機長が重心を確認する前に、離陸してはいけない」ということが航空法で定められているらしい。
航空法施行規則に記載あり


その「重心」は何に使われているかというと、、、

重心位置のデータは,離陸時の水平安定板の角度のセット,飛行中の燃料消費による重心位置移動範囲の確認に使われる。

航空実用事典


なるほど。
角度ね。分かる分かる。
燃料消費ね。そうでしょう。
そうなるよね。


分かってない。
当方、分かってないが、分かったから。
少なくとも「計算に使うらしい」ということは、分かった。
なので、話を続けてくれ。

飛行機は重心位置・重量が規程値以内でなければ安全に飛ばすことができません。
例えば重心位置が後ろすぎると尻もちをついたり、操縦桿で引き起こしができなくなったりします。

搭載物の配置は、お客さまの人数や座席の配置状況・手荷物の個数、貨物の大きさや重量などを考慮しながら決めていきます。

ロードコントロール | 業務紹介 | 株式会社JALスカイ


そうか、搭載物の配置とかもコントロールして、重心をとっているのか。
重心許容範囲に収めるというか。


それで、その重量や重心。
離陸前に、「ウェイトアンドバランスシート」で機長に知らされる。

出発の15分前、チェックインが締め切られると、コンピューターによって、その便の重量が計算されます。
そして、多くの場合、貨物の積む場所を調整することで、重心位置が規定の許容範囲に収まるようにしています。

昔、小型旅客機をマニュアル(手動操作)で操縦していた際、巡航中に客室乗務員がカートを動かし、お客さまに飲み物を提供しているのが、機体の微妙な重心の変化から分かったそうです。

JAL - コックピット日記 - Captain 102


小さい昔の飛行機だと、CAの飲み物提供移動で、重心の変化がパイロットに分かったんですね。。。


しかし、そうなってくると。
「実際、重心の変化が飛行機の運行に、どの程度の影響があるのか?」
気になるんですケド。。。


だって、機内でトイレにいくために移動したりするワケじゃない?


まず、「横への移動」。
景色を見るために、窓側に移動したり。
これは、あまり影響が大きくないらしい。

飛行機の重さが人の重さに比べて非常に大きいこと、そして人の移動距離が少ないこと、こういった理由から、横への移動の影響はほとんどないのです。
(しかしながら、飛行中は突然の揺れもありますので、ご着席をお願いいたします・・・)

JAL - 旅コラム(JAL旅プラスなび)


逆に、機内での「前後への移動」。
これは、移動量も大きく、(機首の上下に関係するので?)、ちょっと影響が大きいらしい。

飛行機は、バランスを取っている中心(翼付近)から前後に長いため、たとえ少人数であっても最前方から最後方に移動した場合、無視できない変化量になってしまいます。

そのため、飛行中に移動できる人数がフライトごとに決められてパイロットに知らされます。

JAL - 旅コラム(JAL旅プラスなび)


なるほど。。。
席を変更できる人数も、重心計算の結果から、あらかじめ決まっているんですね。。。


そーゆー意味では。
エコノミーの客が、勝手に大挙して前方のビジネス席に押し寄せたら、、、
重心が変わっちゃうんですねぇ。。。


うーむ。
なるほど。


まぁ、個人的には。
顧客の平均体重が、機内の前後で大きく違ってたら、どうなるのかな?
と、ちょっと思ったけど。


誤差の範囲か、統計的に「バランスするから大丈夫」なのかな。
どうなんだろうな。
極端に体重が軽い人や重い人は、中央(重心位置)に近いところに座るべき、という話はきいたことがない。


あと、離陸時と着陸時。
機首の角度が関係する、このタイミング。
ここでCAも含めて、皆がキチッと着席すること。
トイレもいっちゃダメ。
その重要性が、分かった気がしました。
なんとなく。
そこで重心が変わるのは、危ないよね、と。


話は変わるが。


最近、Amazonプライムビデオで、「メーデー!:航空機事故の真実と真相」というアメリカのテレビ番組を20本以上みた。
これ、飛行機の墜落事故の原因解明の過程を、1回につき1件ずつ丁寧に解説する番組。



これを観ていて思ったのは、離着陸時の角度や、フライト時の機首の上げ下げが、いかに重要かということ。
揚力を得るためのフラップの故障なんかは、ほとんどトラウマものだった。


そこ(シーズン10-11)では、「重心」が事故の原因になったという話は出なかった。
(重量オーバーで墜落した話はあったけど)


ただ、安全なフライトということを考えると、重心。
これはやっぱり大切よね、と。
たぶん。


そう思いました。


※2016/01/05追記

いただいた はてブのコメントによると、2003年の「ミッドウェスト航空5481便墜落事故」が「整備不良と重心の問題のコンボ」で、「メーデー~」のシーズン5で特集されたとのこと。
ミッドウェスト航空5481便墜落事故 - Wikipedia
そういえば、その話はシーズン10-11のどこかで過去事例として取り上げられていた。
(重量・重心の計算のための「乗客の体重」は平均体重から算出しているが、太り続けるアメリカ人の体重に対し、計算に使っている平均体重が古いまま(軽いまま)だった)


また、これも はてブコメントによると、以前の小型機では体重を計測されて席が決められたことがあったらしい。


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