早朝のイスラムへーレスで、コーヒーを飲む

イスラムへーレスの夜と朝

メキシコ滞在中、結構な「時差ボケ」に見舞われた。
なにしろ時差14時間なので、昼夜逆転。

だいたい、夕方6時には電池がきれて、爆睡。
そして深夜の0時に、ムクッと起き出す。

ただ、カンクンにほど近い離島「イスラムへーレス」は、昼間の見事なカリビアン・ブルーも良かったが・・・
夜や早朝の静かな街並みとビーチもまた、格別だった。

昼間は、カンクンからのツアー客なども多く、島全体が賑やか。

記念撮影スポットも、順番待ちが発生する人気ぶり。

しかし現地の人も寝静まった深夜になると・・・。

ただただ、潮風と波の音が響くばかり。

街の中もすっかり人の気配がなくなるが・・・

街灯だけは結構な数があり、煌々と足下を照らすのあった。

昼間はゴルフカートで渋滞していた、港前のメイン・ストリートも・・・

地面に座り込んでいる酔っ払いしか、人影はなく。

メイン・ストリートに面した、賑やかなPlaya Solビーチ。

対岸のカンクンの街の灯りが、遠くに確認できる。

さすがカンクン。

深夜でも、空が怪しく輝いているのであった。

朝日を待ちながら

お気に入りは、島の東側にある海沿いの遊歩道。

風が気持ちよく、ベンチもたくさんある。

夜になると、一層風が強くなる。

ビュービューと音を立てて、海から風が吹く。

そこに行く前に、いつも深夜のコンビニ(OXXO)でコーヒーを買った。

OXXOのコーヒーは、備え付けの紙コップに自分でコーヒーを注ぎ、レジに持って行く。
アメリカーノとかカプチーノとか、レジで自己申告。

レギュラーサイズのアメリカンで、19.8ペソ(100円)。

これを遊歩道に持って行って、啜りながら海を眺める。

至高の時間。

毎日、朝5時前くらいから、こうしてサンライズを待っていた。

少しずつ空が青く染まっていく感じ。

いやぁ、いいですねぇ。。。

しかし翌日以降。

この神聖なコーヒー・タイムは無残に奪い去られ、、、

2度と味わうことができないのであった。

なぜなのか。

未明のコーヒー強奪

2日目の朝も、ビーチロードのベンチに陣取り、サンライズを待っていた。
写真を撮りたいのである。

辺りは、まだ真っ暗。
日の出までに2時間はかかりそうだった。

しかし心配ご無用。

当方、コンビニでコーヒーとお菓子を購入して、万全の待機体制。

「iPadで本でも読みながら、気長に待つさ」

そう考えていたんですよね。

この遊歩道も、人通りが全くないワケではない。
深夜であれ、早朝であれ。

自分と同じように、カメラをもってサンライズ待ちをする人も結構いる。
少し明るくなると、ジョギングをする人が大量にでてくる。

朝6時くらいには、ゴミを回収する業者が動き始める。

その少し前には、ホームレスが先行してゴミ箱を巡回しにくる。

ちゃんと順番がある。
ホームレスが前、ゴミ回収業者が後。

エコシステムが成立しているのだ。

まだ真っ暗な中で「誰か近づいてくるな」と思ったら、ゴミ箱を漁りにきたホームレスだった。

自分のベンチの側に、ゴミ箱があったのだ。

iPadに目を戻すと、「うぅ、あぁ、うぅ、あぁ」という言葉にならない声が聞こえた。
目をあげると、ホームレスが自分に何か話しかけているらしい。

「何か用?」という目配せをすると、ホームレス氏は当方のコーヒーを指さしている。
「うぅ、あぁ、うぅ、あぁ」。

相変わらず言葉になってない。
しかし、どうやらコーヒーが飲みたいらしい。

そうだな、兄弟。

こんなに潮風が気持ちの良い、爽やかな早朝。
誰だって、1杯のコーヒーを飲む権利はある。
any given coffee.

まだ半分以上残っていた、コーヒーを渡す。
ホームレス氏、実に美味そうにコーヒーをゴクゴクと飲む。

そして一息つくと、「あ”ぁ~~」という声にならない「ため息」を漏らす。

「どうするのかな?」と思って見ていたら、全部飲みきるつもりらしかった。

飲み終わると、空のコーヒーカップを指さして、ごにょごにょ言っている。
ゴミはゴミ箱へ。
捨ててきてくれるらしい。

ありがとう、兄弟。
そこら辺は、プロにまかせるよ。

ホームレス氏は、トボトボと歩き去っていき・・・


※歩み去っていくホームレス氏

当方は、別に持参していたペットボトルの紅茶で、残りの時間を過ごした。

「少し明るくなったな」と思ったら写真を撮り、紅茶を啜る。
そしてiPadでの読書に戻る。

2時間後。

朝日が完全にのぼった。
1日の始まりである。

なんて気持ちのいい朝!!

ホテルに戻る道の途中、件のホームレス氏に出くわした。

片手に酒瓶をもって座り込み、朝から酔っ払ってご機嫌のようだった。

そうだな、兄弟。

本日も、通常運行。

翌日以降、このホームレス氏には出くわさなかった。

しかし俺氏のコーヒーを襲う、新たな刺客が・・・

ワンパンマン氏の強烈な一撃

3日目の朝、いつものようにコーヒーを買って、早朝のビーチロードへ。

雲が多く、「こりゃキレイなサンライズは見れないかな」という空模様。

しかしまぁ、サンライズを撮影するのは、早朝の海辺で至高のコーヒー・タイムを味わう、言い訳みたいなもの。

気にもせず、コーヒーを啜りながら海を眺めるのであった。

とりあえずデジカメの設定を確認し、タイムラプス動画を撮るためのiPhoneを三脚で固定する。
これで準備完了。

※実際に撮ってきたタイムラプス動画

隣のベンチで、大きなニコンのカメラをもった外人が、同じようにサインライズ待ち。
しかし、どうも時間を持てあましたらしく、こちらに話しかけてきた。

サンライズを待っているのか?俺もそうなんだ。
隣に座っていいか?
カメラは何を使っているんだ?
ソニーか、悪くない。えらく小さいな。
カメラはもっと、レンズに金をかけた方がいいぞ。
見ろ、この広角レンズの素晴らしさ。

マシンガン・トークで、こちらの英語力では聞き取れないのも意に介さず、ひたすら話しかけてくる。
60代くらいのアメリカ人で、仕事をリタイアして色んなところを旅行してまわっているらしい。

こちらが日本人だと知ると、
「娘が日本アニメを好きな影響で、俺もアニメを好きになったんだ!」
と興奮気味。

俺氏:そうなのか。日本人だけど、アニメはあんまり見ないんだよ。
米人:ガンダムはどうだ?どのシリーズが好きなんだ?
俺氏:ファーストとZは好きだけど、他は観てない
米人;オーマイガッ!「08小隊」(team 08)を知らないのか!!
俺氏:あぁ、なんか聞いたことあるな
米人:もったいない!

過去に旅行した先の話とか、色々話題は巡り・・・
結局また、アニメの話に戻ってきた。

米人:俺が一番好きなアニメは、「ワンパンマン」だ。
俺氏:名前は聞いたことがあるけど、観たことないな
米人:オーマイガ!!

米人:いいか、ワンパンマンは最高にクールでファニーだ
米人:敵がペラペラ喋りながら、攻撃しまくってくるんだ
米人:ワンパンマンは無言でそれを全て避けながら・・・
米人:一発、ワンパンチで相手を倒すんだぜ!!
米人:最高にファニーだろ?
俺氏:・・・。
俺氏:それって、ファニーか?

この「それって、ファニーか?」(is that fanny ? / 賛同できないという目で)というのが良くなかった。

ワンパンマン氏の魂に火が付いたらしく、ただでさえ大きな身振り手振りだったのが・・・
戦闘シーンを、体の動きで表現しはじめたのだ。

「いいか、こうやって・・・」と、パンチのために勢いよく引いた肘が・・・

ベンチに置いてあった、当方のコーヒーを直撃した。

紙コップは地面に落ち、衝撃で蓋も外れ、、、
コーヒーが、むなしく地面に吸い込まれていくのであった。

ワンパンマン氏は、しきりに謝りながら
「これはコンビニのコーヒーか?すぐに代わりを買ってくるよ!!」
と言って、走り去っていった。
(コンビニは5分くらいのところにある)

慌ただしいというか、なんというか・・・。
喋りっぱなしのマシンガントークも含め、とても60代とは思えない活動量。

「元気だなぁ」と思って待っていると、コーヒーを持って帰ってきた。

満面の笑み。
「ほら、コーヒーだ。Exactry、正真正銘の、カプチーノだぜ!!」

兄弟、なぜ「カプチーノ」になった・・・。
(そして、カプチーノが正解という謎の自信はどこから…)

飲んでいたのは、アメリカンのブラックですぜ。

当方、コーヒーはブラック無糖ひと筋。
甘ったるいカプチーノだのなんだのは、コーヒーとしてカウントしない。

しかしそれを指摘するのもアレなので、ありがとう、と言って受け取った。

まぁ、たまには甘ったるいのも、悪くない。


※海岸に降りて写真を撮るワンパンマン氏

その後ワンパンマン氏は親切に、カンクンへのフェリーチケット購入を手伝ってくれるなど、お世話になった。

まとめ

イスラムへーレスでは、時差ボケで夕方~夜の時間には熟睡し、深夜から早朝に海辺を徘徊するなど、ちょっと変な活動時間になった。

しかし、深夜や早朝の街・海の様子は素晴らしく、まったり過ごせて最高だった。

お楽しみのコーヒータイムは、トラブル続きでなかなかうまくいかなかったが、まぁ、それも旅の思い出。

この小さな島は素晴らしかったので、またいつか旅行できたいな、と思いました。

そんな感じ。

カンクンに近い離島「イスラムへーレス」。透明度の高いカリビアン・ブルー、ゴルフカートや自転車で島を一周

メキシコ カテゴリーの記事一覧 – やじり鳥
コーヒー カテゴリーの記事一覧 – やじり鳥

この記事を書いた人 Wrote this article

tonogata
TOP