「空港ラウンジ」ビジネスに関する面白い記事が出ていた。
Skiftの記事(英語のみ)。
https://skift.com/2017/12/12/the-airport-lounge-business-an-insiders-view-of-how-it-all-works/
アメリカン航空でラウンジ運営に関わり、現在はAirport Lounge Development社の副社長であるNancy Knippへのインタビュー。
内容は、プライオリティ・パスやラウンジのビジネスについて。
プライオリティ・パスは、英Collinsonグループのプライオリティ・パス社が発行している。
このパスに年会費を払ったユーザーは、無料で提携ラウンジを使うことができる。
プライオリティ・パス社自身は、ラウンジを所有していない。
誰かがプライオリティ・パスで空港ラウンジを使うと、ラウンジ運営会社に対してプラオリティ・パス社が料金を払う仕組み。
同じ英Collinsonグループ傘下には、空港ラウンジ「The Club」を運営する米Airport Lounge Development社もある。
今回のインタビューは、その米Airport Lounge Development社の副社長。
ラウンジ運営(The Club)やプライオリティパスのビジネスに詳しく、航空会社側でのラウンジ担当の経験もある。
「Airport Lounge Development」(ラウンジ運営)からすると、主な仕向けは3つ
- 一般利用者(40ドル/1回)
- 航空会社との契約(ビジネスクラスの乗客向け)
- プライオリティ・パス社との契約 (Airport Lounge Developmentも同じCollinsonグループではあるが)
以下、面白かったQAだけ。
Q:ANAやブリティッシュ・エアウェイズのビジネスクラス客が「The Club」ラウンジを使う場合、航空会社とはどのような契約になるのか?
A:基本的には「一人当たりいくら」の従量制/月。単価は航空会社との取り決めによる。航空会社によってラウンジに要望されるフードとドリンクが異なるので、そこで料金が変わってくる。
Q:一人あたり、いくらくらいを航空会社に請求するのか?
A:詳しくは答えられないけど、「The Club」はラウンジ利用権をもっていない一般客なら40ドル/人なので、普通に考えるとそれよりは安くなるね(法人契約だから)。
Q:航空会社の客でなく、プライオリティ・パスで「The Club」ラウンジを使う場合も、同じ価格をプライオリティ・パス社に請求する?
A:利用者毎の料金が発生するのは同じ。その売り上げをラウンジ会社と空港とで分け合うかは、空港との契約による。
Q:つまりラウンジ会社は空港とレベニューシェアしてるってこと?
A:そう。ラウンジ利用者が増えれば、空港にも寄与する。
※アメリカの場合(日本は不明)
Q:最近、旅行に力をいれているクレカには、ほとんどプライオリティ・パスが付帯している。ラウンジ利用者も増えてるんじゃない?
A:確かにラウンジ利用者数は、顕著に伸びてきている
Q:誰もかれもが対応クレカを持っているから、ラウンジの混雑が問題になるのでは?
A:そうね。そのために、例えば1つのテーブルを4つの椅子で囲むような配置じゃなくて、共用テーブルに複数の椅子を用意するような配置を用意したりしてる。1つのテーブルに4つの椅子でも、1名か2名で使われたりするから。
Q:40ドル相当のラウンジ料金の元をとろうとして、過剰に飲み食いするような客はいる?
A:たまにいる。でも逆に何も食べない客もいるのでバランスする。それに、たいていの客にとって重要なラウンジの要素は、落ち着いた空間で座って休めることや、キレイなトイレがあることだったりする。
Q:フードメニュー、人気がある品はすぐなくなるよね?
A:寿司なんかは、そう。大抵の人は寿司が好きみたい。ヘルシーだし、値段が高そうに見えるし。
Q:フードをバッグに詰め込んでラウンジを出ようとする客もいたりするんじゃない?
A:そういう行動をとらせない秘訣としては、スタッフがビュッフェをこまめに片付けたり、補充したりすることね。そうやってキレイに保たれてる状態、スタッフがケアしている状態だと、フードをバッグにつめようとする人はあまり出てこないから。
気になった点。
- 米でも、プラオリティ・パス付帯のクレカが増えて、ラウンジ利用者がどんどん増えている
- 航空会社はラウンジにフード類を指定する(寿司をメニューに加えて、とか)
- 主に用意するフード&ドリンクで、航空会社がラウンジ会社に払う金額が変わる
- ラウンジ運営は、フードをバッグに詰め込む客がでない雰囲気作りに苦慮している(割れ窓理論みたいな(笑)
利用者数の実態は分からないけど、プライオリティ・パス全体の利用者数は、「顕著に」増えているようだ。
日本でも、どんどんラウンジ利用者が増えているんだろうか?
最近は、テレビ番組でもラウンジがちょこちょこ特集されていたりする。
「沸騰ワード10」なんかは、年2回くらい定期的に特集を組んだりして。
日本でのプライオリティ・パスは、楽天プレミアムカード付帯が最も安く手に入る手段(年会費1万円)。
プライオリティ・パスは有料で入会もできるが、クレカ付帯で入手する方が安価なのだ。
楽天は最近、この「楽天プレミアムカード」のワンランク下に「楽天ゴールドカード」(年会費2160円)を作った。
ゴールドの方には、プライオリティ・パス付帯なし。
https://www.bousaid.com/2016-09-06-095111/
ゴールドとプレミアムカードとの差額は、約8000円。
プライオリティ・パスの有無で、年会費が8000円違う感じ。
(それ以外にも、保険とかの違いもあるけど)
プライオリティ・パスを使って誰かがラウンジを利用する度に、プライオリティ・パス社は楽天に利用料を請求する。
上記インタビューによると、その金額はラウンジ利用1回あたり40ドル以下。
※「The Club」ラウンジの場合。ラウンジによって料金は多少違うだろう
「40ドル」以下なので、30ドルとか20ドルかな?
そうすると、楽天はおおよそ「年1~2回」程度のラウンジ利用を見込んで、年会費(差額8000円)を設計したのだろうか。
まぁ、プレミアムカードの利用者の中でも、
- プライオリティ・パスの存在を知らない人
- 年に1回も使わない人
は多いだろうから、「○%が年に○回使う想定」とかなんだろうな。
それでも、プレミアムカード(1万)の年会費をさげずに、わざわざゴールド(2000円)を作ったのは、1人1回利用相当の実績くらいはあるのかもしれない。
一部の利用者が年に何回も使う、的な。
そういえば、自分もANA/JALのステータスをとってからは、プライオリティ・パスの利用回数がグッと減った。
ANA/JAL運営のラウンジは、プライオリティパスに対応してないのだ。
※ANAラウンジ/JALさくらラウンジ
ただまぁ、使うと言えば使うので、とりあえず楽天プレミアムカードは持っておこうかな、と思うけど。
そんな感じ。