書籍「新橋アンダーグラウンド」(本橋信宏)を読んだ。昭和平成のサラリーマンに贈るアングラ秘話

新橋アンダーグラウンド

正月の読書感想文です。

今回も何冊か読んだが、この一冊が滅法おもしろかった。
「新橋アンダーグラウンド」(本橋信宏)

東京はサラリーマンの街、「新橋」に秘められしアングラな歴史を探るルポ。

新橋アンダーグラウンド

著者の本橋信宏氏は、ちょっと前にNetflixで流行った「全裸監督(村西とおる伝)」の原作者でもある。
自分は「全裸監督」は読んだことがなかったが、それより以前の著作を何冊か読んだことがあり、「すごい進入角度で突入して深掘りする作家だな」と感銘を受けたことがあった。

それが最近、街ルポ「東京の異界シリーズ」を書いていることを知り・・・
その手始めの一冊として、「新橋」を読んでみた形。

「新橋」がすごく面白かったので、今後はほかも読んでみたいと思います。
※他にも「上野」「高田馬場」などが出版されている

それにしても本作、自分は新橋とは縁がないが、知らない話が多くて面白かった。
理想化されたキレイな「昭和レトロ」ではなく、ドクドクと脈打つリアルで生臭い新橋史

新橋を拠点に蠢いていた昭和の怪物たち。
徳間書店の創業者「徳間康快」、最後のフィクサー「朝堂院大覚」、etc。

その新橋の脈動から生まれたスタジオジブリの話を、鈴木敏夫氏がインタビューで語る。
また若かりし日の椎名誠も、デパートニューズ社時代の新橋を語る。
そのほか、伊藤博文、三島由紀夫など、歴史上の人たちの新橋裏話も。

歴史的な観点では、闇市から始まる「高架下の土地権利」や、今も残る「新橋駅前ビル」の成り立ち。
文化的な観点では、ソウルフードたる「新橋系ナポリタン」、吉野家以前の「牛丼屋の元祖」
それから、隆盛するマッサージ店と潜入取材。

まさしく、新橋をアングラな角度から掘り尽くし、しゃぶりつくした怪作。

本作は、本橋氏の「駆け出し記者時代」の記憶も交えながら語られる。
それがまた読んでる方の感情移入を誘い、新橋アングラ・ワールドをリアルに体験できるような1品でありました。

特に、新橋で働いたことがあるサラリーマンの人には、オススメ。
過去の新橋経験について記憶が蘇ったり、新たな発見があるかも、しれない。

関係ないけど、自分は一度も新橋で働いたことがなく、なんとなく「『新橋のサラリーマン』になってみたかったなぁ」という、淡い憧れがあるんだな。
飲食店も多いし、地理的にも便利だし、いいよなぁ、と。

実際になってみたら、どうなのかは分かりませんが。。。

ほい。

そんな感じ。

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