- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2001/03
- メディア: 単行本
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超能力者の日常を追ったドキュメンタリー番組のディレクターによる、内実ルポ。
作者(ディレクター)の森達也は、オウム真理教の荒川をルポった「「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔」とかが代表作かな。個人的にはこの作品が一番面白いけど。
本作では、3人の超能力者に取材している。
・スプーン曲げの清田益章
・パワースポット研究で有名な秋山眞人
・ダウジングの堤裕司
超能力者たちに密着して、突然「ココで(超能力)やってみて」と頼んだり、メディアとの間の葛藤について彼らに喋らせたり、父親としての彼らの風景を撮影したり。
森達也自身は「信じる/信じない」の2元論で語りたくない、というスタンスで、彼らに対しても「(あなたの超能力)信じてないですよ」と本人に言い放ったりする。
しかし長い撮影期間をかけて、彼らの人間性には信をおいていく。
「2元論でやりたくない」が、「彼らは嘘をついてないと思う」という、微妙に矛盾しそうな自分の心境に関して、本作の中で色々述べられている。
自分は正直テレビで話題になったという「スプーン曲げの清田君」とかも、育った時代が違うからか、全然ピンとこない。
超能力自体に深く興味をもった経験もない。
しかしこの本では、バラエティー番組などメディアで、ピエロ役を演じさせられたり、大槻教授にメタメタにやられたりする「彼らの言い分」が語られている。そういう視点はちょっと新鮮で、面白かった。
自分も含め、多くの人は超能力は「どうでもいい」という無関心のスタンスにあると思う。
宇宙人なんかと一緒で、本当でも嘘でも、別にどうでも。という。
しかし、ドキュメンタリーやルポの類で、超能力を自称するマイノリティーである彼らの考えや生活を垣間見ると、やはりこれ、面白いな、と。
メディアに翻弄される長い時間を経て、悩みながらも彼らは彼らなりに必死に社会との折り合いをつけようとしていている。
そういう姿が、読んでいて面白いんだろうな。
ちなみに、この本はテレビ番組撮影の内実を語るものだが、番組自体も動画サイトなんかに残っている。
ただ、順番としては本を先に読んだ方が面白いと思うので注意。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm326101
この本はかなり前の本。
今、来るべき電子ブック時代に向けて、持っている本を売っておこうと整理してたりするんだけど(本はスペースとるので・・・)、この本も売る前に再読してみようかと思ったら、やっぱり面白いなー、と思ったので。
ここに残しておく。オススメです。