質感と機能性を保つ極限まで革を薄くした「薄い財布」、山藤 PTAH「ポイント8」(0.8mm)

薄い「二つ折り財布」を求めて

「薄い財布」と言えば、その薄さでグッドデザイン賞をとった「abrAsus」(アブラサス)が有名だ。

しかし、ああいう「機能もそぎ落として薄さを追求した」という財布でなく、十全たる「二つ折り財布」がいい。

カード収納あり、小銭入れあり、隠しポケットあり。

お札のスペースは、仕切りアリで。

何も機能を引かない完全体の「二つ折り財布」のまま、薄さを追求した財布。

そういう「薄い財布」は、ないんだろうか。

ずいぶん探したが、最近ようやく納得できる財布に出会った。

山藤(PTAH)の「POINT8」。

名前の通り、革の厚さ0.8mmにこだわったシリーズである。

お値段も1.2万円と、そんなに高価じゃないのも嬉しい。

この財布に辿り着くまで、半年に1回のペースで財布を買い換えて、ずいぶん散財してしまった。

今使っているコードバンの財布がダメになってきたのが、買い換えのきっかけ。

やはり革財布といえば、コードバンの質感は格別。

そう思って再度コードバンの財布を新調したが、厚いし固い(少なくとも最初は)。

それに革の中でも水に弱い方ではあるし、もっと薄くて、安くて、ラフに扱える財布がいい。

収納力を求めて、カード収納8枚の財布を買ってみたが、やっぱり厚い。

その「収納力の高さ」が厚さのデメリットを上回ることを期待したが、ダメだった。

カード収納は、普通でいい。ただ、薄くないとダメだ。

そうして辿り着いたのが、今回の「ポイント8」。

結局、その前に買った2つの財布と比べて「最も安い財布」に落ち着いたのは、皮肉な結果ではあるが・・・。


山藤「ポイント8」(0.8mm)の2つ折り財布

山藤(PTAH)「POINT8」は、非常にオーソドックスなフォルムの二つ折り革財布である。

革はベジタブルタンニンレザー。

顔料塗装をしない「素上げ」で、革本来の表情がよく見える。

その代わり、コードバンのようなピカピカの光沢感はない

表革の厚さは0.8mmで、普通より「少しだけ薄い」。

写真では厚みが分かりにくいので重さで言うと、「POINT8」は62g、コードバン財布は約100g

軽くて柔らかいのが、「Point8」の特徴。

手に取ってみると、「メチャクチャ革が薄い」という感じはあまりない。

まさしく、革財布としての質感は保っているんだな。

ただ、カードやお札を色々いれて尻ポケットに入れてみると、「やっぱり薄いな」と感じる。

なぜ「0.8mm」なのか?もっと薄くできないのか?

実は0.8mmというのは、革の風合いや財布としての機能性を保つ「ギリギリの薄さ」ということらしい。

『point8』というシリーズ名は革の厚さが0.8mmという意味です。

この数字が革の風合いとしっかり感を出しつつ、(本体の)機能を引き出せるギリギリの薄さなのです。

山藤の革職人たちが構想3年、機能性とデザイン性を突き詰めた答えが「革の厚み」でした。

表の革を極薄の0.80mmという100分の1mmの精度にこだわり、その厚みを見極める技術を山藤の革職人はクリアしてきました。

https://www.tokyo-yamatou.co.jp/portfolio/point8/



収納力も普通に高く、使い勝手はいい。

見開きのカード収納は4枚。小銭入れあり。

ポケット収納は3カ所にあり、それぞれカードやレシートを収納できる。

↓画像で黒いカードを差し込んでいる部分が、ポケット収納。

札入れは、仕切りあり。

個人的には、これはマスト要件なのよね。

あと「菊寄せ」って言うんでしょうか。

国産の職人技だけに、縫製もしっかりしてそうでした。

2ヶ月ほど使っているが、特に問題なし。

コードバンのような高級感はないが、何より薄い。

そして軽くて柔らかい。

それが、いい。

あと、コードバンの財布で不満点だったのが、お札を入れると上端が財布からはみ出して見えてしまう点。

財布の高さが足りないというか、たぶん革が厚いのが問題点。

その点、この財布だとお札もスッポリ収納されて、良かった。


メーカーの山藤は創業110年

自分は革製品には疎いので知らなかったが、山藤という会社は創業110年の老舗らしい。

創業より118年。山藤は財布作りと共に歩み続けます。

https://www.tokyo-yamatou.co.jp/portfolio/history/

昭和20年代の製品カタログが公式サイトにアップされている。

終戦してスグの時代の、日本のおサイフ事情・・・。

昭和20~30年代は、商品カタログなどは簡単には作れなかったので、製品の写真を写真館で写しアルバムに貼り、カタログにしていました。

それを持ち歩き受注を受けていたのは、当時では画期的だったかもしれません。

写真館で写真をとってアルバムに貼り、それを営業マンが持って歩いて受注生産

ふーむ。

そういう時代もあったんだなぁ、と。

カラー写真の財布をみると、レトロ華美でいい雰囲気だ。

ただ、こーゆー財布を買う層って、やっぱお金持ちだったんだろうか。

自分がこの時代に生きていたら、「手が届かなかっただろうな感」が、すごいある(笑


そんな感じ。

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