スーツケースの「TSAロック」はマスターキー流出済みだが、「心の平安」のためにある鍵なので問題ない

スーツケースのダイヤル式ロックの横には、鍵穴がついている。
いわゆる、TSAロック

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この錠前に合う鍵は、空港のTSA職員(検査員)が持っている。
預け入れ荷物のスーツケースをいつでも解錠して検査できるよう、TSA職員がマスターキーを持っているのだ。
(スーツケースの鍵を壊さずに中身を検査できる)

このTSAマスターキーはTSA001からTSA011の11種類。
鍵穴の横に番号が書いてある。↑画像の場合、TSA002。

世界中、無数にあるスーツケースの鍵穴のマスターキーが「たった11種類しかない」ワケだが、そのマスターキーの設計図はすでに流出している。

2015年、ワシントンポスト紙が誤って記事中にマスターキーの写真を載せて以来、マスターキーは3Dプリンターで誰でも作れるようになってしまった。
GitHubでは、001~007の3Dプリンタ用の設計図が公開されている。

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You Tubeなどでみると、3Dプリンタで作った鍵でも普通にスーツケースを解錠できるようだ。
tsa master key - YouTube

そんな状態のTSAロックだが、マスターキーが流出して以来、「TSAはこの事態をどう考えているのか?」というのが個人的に謎だった。
新しいセキュリティ機構とか導入しなくて良いの?っていう。

それが最近、ちょっと昔のモノだがTSAの反応について書いた記事があったので、その辺について。

その記事とは、「The Intercept」の↓。
TSA Doesn’t Care That Its Luggage Locks Have Been Hacked
(題:TSAはハックされても気にしちゃいない)

↑記事は「The Intercept」に対して、TSAのスポークスマンからメール回答があったという内容。
ちなみに「TSA」とはアメリカの運輸保安庁(Transportation Security Administration)であり、「TSAロック」とはTSAから認定を受けた鍵の総称。
TSAは空港・輸送におけるセキュリティ全般を担当しており、「TSAロック」はそのセキュリティの一端でしかない。

“The reported ability to create keys for TSA-approved suitcase locks from a digital image does not create a threat to aviation security,” wrote TSA spokesperson Mike England in an email to The Intercept.

TSAロックのマスターキーが流出した件は、TSAの航空セキュリティの脅威とはならない。
TSAのスポークスマンであるMike England氏は、「The Intercept」にメールでそう回答した。

“These consumer products are ‘peace of mind’ devices, not part of TSA’s aviation security regime,” England wrote.

England氏は言う。
TSAロックは、いわば「心の平安」のためのデバイスであり、TSAの航空セキュリティの領域ではない。

“Carried and checked bags are subject to the TSA’s electronic screening and manual inspection.
In addition, the reported availability of keys to unauthorized persons causes no loss of physical security to bags while they are under TSA control.
In fact, the vast majority of bags are not locked when checked in prior to flight.”

旅客の荷物はTSAによって電子的にスキャンされるし、目視での検査も受ける。
誰かが不正に作ったマスターキーをもっていたとしても、スーツケースはTSAの監視下にあるのでセキュリティ上の脅威とはならない。
事実、大抵の人はスーツケースを預ける際に、施錠をしていない。
(ここら辺は自分の翻訳が怪しいけど、雰囲気的に)


これは荷物が「TSAの管理下にある範囲」での話をしている模様。
つまりフライト時、荷物を預けてから、荷物を受け取るまでの間。

スーツケースの鍵は、一般的な「鍵」としての用途もあると思う。
例えばホテルや長距離バスでも「一応鍵をかけとくか」みたいな。

ただし、そういう空港外のことはTSAの範疇外ということだろうか。
TSAロックはその名の通り、空港および輸送中のためのモノなので?


しかし実際、そういうTSA側の視点で物事を考えてみると・・・

確かにTSAロックは「なんとなく、鍵がついてると安心」という、単なる気休め・・・「心の平安の問題」なのかもしれない。
もしくは、「検査でスーツケースを無理矢理こじ開けられて、壊される心配はない」という意味での「心の平安」か?

いずれにしろ、「スーツケースの鍵≒TSAロックは、一般的な意味での『施錠』というより、TSAが荷物を取り扱う時に役立つ機能の1つ」という考え方は、新しい発見だ。
今まで、そういう考え方をしたことはなかった。

一理、あるかもしれない。
真面目な話。

なにしろ、名前がTSAロックだしな。
「これはセキュリティを担保するための鍵ではありません。TSAロックです。」という。


なんとなく、納得いかないけど(笑

そんな感じ。

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