座席と飲食
2022年春から新車両での運行が発表された観光列車「伊予灘ものがたり」。
愛媛県の松山駅を基点として4つのコースが用意されているが、今回はそのうちの2つ、「大洲編」と「道後編」に乗ってきた。

ちなみにコースは4つあるが、往復で2カウントだし、移動経路の長さが違うだけとかで、どのコースでも同じような眺め・見所を楽しめる。
大きく違うのは食事メニューや運行する時間帯。
今回は日帰り旅行で、「大洲編」にて松山→伊予大洲に向かい、伊予大洲で観光してから八幡浜に自力で移動、「道後編」で八幡浜→松山と戻ってきた形。
松山基点の日帰りで「現地観光込み」だと、基本はこのパターンになる。時刻表的に。
それで、実際に乗ってみた「伊予灘ものがたり」だが・・・
コンセプトは「レトロモダン」だという車両内装、雰囲気あります。
全席指定で、カウンター席だと海を眺めながら旅ができる。

カウンター席には1車両に1席ずつ、1名専用の座席もある。
自分は1人での乗車だったが「1名座席」(4A)は予約できなかったので、隣席との席間はどんなだろうなと思っていたが、まぁ普通に他人と並んでもイケる感じですね。
今だとコロナ対策で各席にアクリル板が設置されているので、特に。

ふかふかの椅子に、クッション。最高です。
自分の中での電車史上、ここまで座り心地のよい椅子はなかった。
「伊予灘ものがたり」では食事予約券を買うと、車内で豪華なメシがついてくる。
ただこの「食事予約券」は4日前までの販売となっており、直前に指定席券をゲットできても食事にありつけない。
ちなみに価格はざっくりいうと、乗車券/指定席券で2000円、食事予約券が3000円、合計で5000円くらい。
今回、「大洲編」では食事予約券アリだったが、「道後編」は前日に買ったので食事券は買えなかった。
「メシはナシかぁ」と思っていたが、実際に乗ってみるとメニュー表で注文できるドリンク・フードも用意されていた。


フードは軽食・おつまみ中心ながら、「ケーキセット」「おつまみセット」などのセットメニューもあり。
大洲編(松山から伊予大洲)
松山から乗車した「伊予灘ものがたり」(大洲編)。
朝の出発であるため、食事予約券でいただける食事も朝食メニューとなっている。

メニューは2ヶ月毎に刷新されるが、自分が乗った際のメニューは以下。
- よもぎキューブサンド(桜鯛の桜クリームコロッケ)
- よもぎキューブサンド(あんバター、季節のフルーツ添え)
- 春野菜と塩豚のポトフ
- 鰆の香草パン粉焼き、竹の子と椎茸のガーリックソテー、半熟煮卵、新玉ねぎのオーブン焼き、アスパラガスのソテー、桜パスタ、旬の野菜添え
- ホットコーヒー
「朝食メニューだしな」と侮っていたが、すごく美味かった。
素材がいいんですかねぇ。。。
のどかな田園風景を眺めながらの朝食、ホットコーヒー。
言うことないっス。

ちょうど時期的には、桜の季節。
桜の向こうに海が見えるという眺めは、非常に良かった。

なお、桜がたくさん咲いている喜多灘駅では一時停車。
一度下車して、桜の写真を撮る時間を設けてもらえた。
いいねぇ。
桜だねぇ。
ということで、追加注文「和菓子セット」(1000円)。

マシュマロみたいな和菓子は、松山の老舗菓子店「西岡菓子舗」の「つるの子」というらしい。
メニュー上では「幻のお菓子」と宣伝していたが、確かに美味かった。
口にいれるとフワッと溶けて、カスタードクリームが溢れ出す不思議な食感。
外の景色は、桜から、菜の花畑へ。
この菜の花は地域住人の方々が大切に育てているとのことで、ちょっとした観光スポットにもなっているようです。

しかし海が背景だと、いちいち映えるな…。
当方もインスタ・デビューしようかな。
最近だとチックトックって言うんだっけ?
海と言えば、車窓からみる透明度が高いポイントも、なかなかスゴかった。

爽やかですなぁ。
海ですなぁ。
アイスですなぁ。

「媛ベリー プレミアム・アイスクリーム」(450円)。
「シンカンセンスゴイカタイアイス」かと警戒してスプーンを突き立てるも、思いのほか柔らかい。
ブルーベリーがたくさん入ってて、プチプチ食感、これは美味かった!!
道後編(八幡浜から松山)
観光を終えて、八幡浜から松山に戻る。
「道後編」では食事予約券を変えなかったので、個別注文で参戦しました。
「彩セット」(おつまみ3品+飲み物)、1400円。
ドリンクは「昭和のハイボール」を選択した。

いやー、いいですね。
山や田畑を眺めながらの、一杯。

青春18きっぷのポスターで有名な下灘駅では、一時下車して夕陽を眺める。
ちなみに下灘駅は「大洲編」でも一時下車タイム(午前中)があった。

海に落ちる夕陽を眺めながら、電車は走る。
これが飲まずにおられようか。

オリジナルカクテル 黄金(KOGANE)、800円。
伊予柑を使ったオリジナルの黄色いカクテルらしいです。
メニューに書いてあった。
やがて風景は、田畑に混じって民家が増えていき・・・

旅の終着点、松山駅に到着したのであった。
心が洗われる電車旅
「伊予灘ものがたり」は、すごかった。
何がすごいって、沿道の地元民が手を振ってくれること。
例えば、テニスコートでテニスをしてる人達が、「伊予灘ものがたり」が通ると手を振ってくれる。
工事現場のオジサン達も、手を休めて手を振ってくれる。
ガソリンスタンドの店員、
自転車にまたがった小学生、
外に出てきたカフェの店員、、、
なんか、みんな手を振ってくれるんですよね。
いたるところで。
え、なに?
この芥川龍之介の「蜜柑」みたいな世界観。。。
みんな、車窓から蜜柑が放られるのでも期待してるの?
最初にネット記事とかで「手を振ってくれる」とか読んだ際には、「まぁ地方の重要な観光資源だし、アサインされた人がそういうのもやるんだろうな」くらいに思ってたんですよね。
あと当方もいい歳のおっさん(メタボ)なので、「手を振り返すとかは、ちょっと恥ずかしいよね」っていう。
しかし、そうではなかった。
圧倒的。
圧倒的な人数、手を振ってくれる人々。
そして笑顔。
そういうのを見ているうちに…。
自然と、手を振り返している自分がいたのであった。
東京に帰ってきて、振り返る。
いやぁ、実に心洗われる、いい旅だったなぁと。
そう思うんですよね。
これはなかなか、得がたい体験だったな、と。
伊予灘ものがたり、安いし。
良かった。
ほい。
そんな感じ。