利尻島を徒歩で一周、15時間で58km。はじまりのすじこおにぎり、救済の焼き醤油ラーメン、そして・・・

利尻島を歩いて一周

某日、札幌の丘珠空港からJAL便で利尻空港に到着。
機内からタラップで滑走路に降りると、島のシンボル「利尻富士」が神々しくそびえ立っていた。

利尻空港 利尻富士の眺め

今回は、この島をレンタル自転車で一周しようと思っていた。
しかし滞在するホテルのスタッフと挨拶代わりの世間話をしていたら「歩いて島を一周する人も、たまにいる」とのこと。
歩くこと自体は好きだし「せっかくなら歩いてみるか」と、翌日に徒歩一周を敢行した。

先に結果だけ言うと、一周するのに15時間かかった。
※休憩3時間を含む

利尻島 一周 ルートと所要時間
所要時間15時間
(歩行12時間+休憩3時間)
距離58km
平均ペース14分/km
※利尻島 徒歩一周 実施結果

「距離」については、島をグルッと囲む外周道路に加えて、ちょっとした寄り道の分も入っている。
前半は「せっかくだから」と名所に立ち寄るなどしたが、その回り道も後半で後悔することになる。
体力温存が非常に重要。

「平均ペース」は、前半は急いで歩いていた。早朝に出発して、日没までに終えようとしていたのだ。
しかし後半はスタミナ切れ、のろまな亀のように一歩一歩、足を引きずることになった。
分かっちゃいたんだが、やっぱりキツい。

なお、上図を含む各種の計測は、Walkmeterアプリを使った。
使い慣れてるんですよね。AppleWatch対応してるし。

ということで・・・

早速1日の模様を、レッツらゴー!!

出発(4:15)

早朝、4時15分。
鴛泊港フェリーターミナル(地図)から出発。
薄暗い港の向こうに、利尻富士の姿も~。

早朝の鴛泊港フェリーターミナル

鴛泊港フェリーターミナルから、時計回りで島を一周する。

島の外周道路を歩き始めると、ちょうどの朝日が昇り始めていた。
オレンジ色に染まる空、すがすがしい気分で歩く。

利尻島 日の出

ひたすら海沿いの外周道路を歩いていく。
出だしは快調そのもの。

残念ながら、空は曇り模様。

利尻島 外周道路

島の外周道路を歩いていても、たいていの場合は利尻富士の姿が見えた。

たまに、白い鳥居が利尻富士に向いて建てられていたのが印象的。
なぜ鳥居が白いのか後日チェックしてみたが、「コンクリート製の白い鳥居もある」という情報しか見つけられなかった。

利尻島 白い鳥居

はじまりの「すじこおにぎり」(8:30)

よく考えたら、朝飯をまだ食っていなかった。

しかしここは離島。
そもそも飲食店が稀少な上に、朝早くからやってるところはない。

すでに歩き始めて4時間。

「朝飯くらいは前日に調達すべきだった」と後悔しつつ歩いていると、ひさびさの集落(鬼脇)に到達。

セイコーマート 鬼脇店

そこで遂に、待望のコンビニ。

困ったときの、セコマ!!

助かった・・・。

セイコーマート鬼脇店(地図)。

利尻島には3軒のセイコーマートがある。
セイコーマートは北海道のコンビニチェーンで、北海道では過去にも何度かセコマに助けられた。
頼りになる。。。

地図をみると、次のセコマまではかなり距離がある。
ここで、食わねば!!

セイコーマート すじこおにぎり
  • おにぎり(すじこ)・・・280円
  • おにぎり(鮭)・・・176円
  • 北海道銘菓「きびだんご」・・・50円くらい
  • ホットコーヒー・・・100円

おにぎりは、普通のコンビニおにぎりもあった。
しかし腹が減っていたので大きめ&具材が期待出来そうなホットシェフ(店内調理の品)のおにぎりを購入した。

あったかい、おにぎり。
プチプチの、すじこ。

おいしいね。

きびだんごは、北海道開拓にあたった屯田兵の携帯食に由来しているという、北海道独自の品。
甘くておいしい。「100年前にスニッカーズがあったなら、コレ」的な、ねっとりとした味わい。

セコマの駐車場で腹を満たし、コーヒーを飲んで・・・

先に進みます。

何と言っても、まだ4時間。
1/3くらいしか、進んでいない。

「白い恋人の丘」には登らない(9:20)

セイコーマート鬼脇店から30分も歩くと、オタトマリ沼に出た。
利尻島内では最大の湖で、観光スポットになっている。

オタトマリ沼

湖のほとりには2軒ほど、食堂や土産物屋あり。
後日、ここで食ったアイスクリームは美味かった。
「まっちゃんの店」(食べログ)

湖の周囲は、徒歩で一周できる。
当然ながら、この日はそんな余力もないので、少しだけ休憩したらスグ出発したのであった。

また、この近くには「白い恋人の丘」もある。
北海道の銘菓「白い恋人」のパッケージに書かれている眺望が得られるワケだが・・・

そこに行くには、坂道を登る必要があるんだなぁ。

有名な観光地なので寄ってみたかったが「坂道はさすがに無理だな」と、先に進む。
出発から5時間、まだ体に痛みはない。
しかし、それらはきっと、やってくる。

そろそろ体の負担を考えて、最短距離を進んでいかねば。。。

利尻島 道路

ひたすら海沿いの道を進む。

仙法志御崎公園」に到着。
AM11時、出発から6.5時間。

仙法志御崎公園

利尻昆布がいっぱい干してあった。

それで思い出した。

利尻昆布で出汁をとったラーメン。
昼飯には是非とも、ラーメンが食いたいのだ。

しかし、お目当ての店は、まだまだ遠い。

麗峰湧水

昼の12時。出発から約8時間。
だいぶ汗をかいて、バテてきたところに、湧き水のご褒美。

麗峰湧水」(地図)である。

冷たい水で顔を洗って、手ですくってゴクリと飲む。
たったそれだけで、体力が一気に回復する人体の不思議。

生き返った~。

あとちょっとで、昼飯、ラーメン・・・

救済の「味楽 焼き醤油ラーメン」(13:45)

13時45分。出発から9.5時間。
疲労困憊、すでに足腰はへたっている。

遂に・・・

お目当てのお店に到着。
利尻らーめん味楽(食べログ)

利尻島 味楽 外観

焦ったぞ!

14時閉店のお店なので、疲れた体にむち打って「早歩き」で行軍した。
その甲斐あって、閉店15分前だったが入店できた。

うれしい!

さぁ、いでよ「焼き醤油ラーメン」(880円)

利尻島 味楽 焼き醤油ラーメン

まずはスープをひとくち・・・

このスープ、やっば!!

めちゃくちゃ美味い。

こちらのお店、利尻昆布の旨み成分を増幅させるために、3年熟成させているという。
それを、公式HP曰く「非常識なほど大量の利尻昆布をじっくりと煮込み出汁を抽出」!!

飲めば、おいし。
グングン体に染み渡る。

焦がし醤油・味噌・焦がしニンニクのスープ、よく絡む中太ちぢれ麺。
メンマは昆布出汁で煮込んで味付け。

あっという間に完食、スープも飲み干した。
体力も全量回復!!

そして、再び歩き出す。

「夕日ヶ丘」にも登らない(18:30)

「体力が回復した」と言ったな。

ありゃ、嘘だ。
幻だった。

歩き出すとやはり体は重く、足腰にも疲れが・・・
土踏まずが痛い。歩くと土踏まずが痛いよぉ~~!!

そして、小雨が降りだす。

利尻島 会津藩士の墓

歩き出してから30分もたってないが、屋根付きベンチを見つけて休憩。
よくみると、「会津藩士の墓」という観光名所であった。

ちなみに、この手の休憩スポットはルート上に他にもあった。
どちらかというと自転車ユーザー向けに、自転車周遊ルート上に休憩所が設置されてるみたいですね。

いずれにせよ、助かった。

しばらくすると雨もやんだので、徒歩一周を再開。

そのうち晴れ間もみえてきた。

利尻島 国道108号

利尻島の外周道路、国道108号には金属製の防風フェンスが設置されている。
途中で出会った島民に「これは何ですか」ときいたところ、冬に風でサラサラの雪が道路に舞い込んでくると視界悪化、事故原因となるので、雪が舞い込んでくるのを防ぐために設置されているフェンスとのことだった。

利尻島 国道108号 防風フェンス

この防風フェンスの裏には、自転車道や歩道があったりする。
車道を歩くのは味気ないが、このフェンスの裏を歩くと眺めも良く、なかなか良い感じであった。

周囲には高い木もなく、笹だけが風に揺れる。

北海道で人気の無い道を歩くとなると熊が心配になるが・・・
利尻島は基本的に「熊がいない」とされている。

2018年に「106年ぶりに利尻島に熊が現れた!海を渡ってきたらしい!!」と結構な騒ぎになったが、その後はその熊の消息も途絶え、一応「終息宣言」がでている。
利尻島におけるヒグマ生息の終息宣言について

それはともかく、延々と108号を歩く。
そのうち日も沈んできた。

利尻島の夕暮れ

もはや、体力の限界である。
足取りは重く、右足の小指が痛い。

もう少しだ。。。
がんばれ、俺氏!!

ちなみに、この国道は沓形など街の付近でないと街灯がないらしい。
暗くなるにつれ、その事実に気づき焦りも出てきた。

真っ暗になる前に、鴛泊に辿り着かないと!!

なんとか18時30分頃には、街に近い観光名所の「夕日ヶ丘展望台」に辿り着いた。
本当は、「ゴールに近い夕日ヶ丘でサンセットをみる」という計画だった。

時間的にはちょうどサンセットに近いワケだが、残念。
もはや、夕日ヶ丘の「ちょっとした坂」を登る気力は残されていない。
もう12時間ほど歩き続けているので、電池残量はゼロ。

ちなみに、前日に訪れた夕日ヶ丘でのサンセットの様子は、以下のとおり。

利尻島 夕日ヶ丘展望台からの眺め

ここからの眺めは、最高に良い。
同じようなスポットで、近くにペシ岬もあるが、夕日ヶ丘の方がイージーに登れる。
5分ほど階段を登ればよいだけなのだ。
※ペシ岬も簡単に登れるが、体力残量ゼロで登ると危ない程度の傾斜がある

ということで、この日は夕日ヶ丘もスルー。
一歩一歩、足を引きずりながらゴールの鴛泊を目指すのであった。

ゲットバック(19:00)

遂に、鴛泊まで帰ってきた。

あたりは真っ暗。
ここまでくると街灯もあるワケだが、夜の利尻島は交通量がほとんどない。
本当に、静かな夜だ。

利尻島 夜の街

それはともかく、疲れた。
そして猛烈に腹がへった。

体がメシを欲している。
ウニとかホッケのような海鮮、そういうキレイなものじゃない。
もっとガチなメシ、「質量」と「速度」が必要だ。速攻で、ガツンとくるやつ。

「チャーハン・唐揚げ」とか、「カツカレー」とか・・・

そこで、前日にも使った中華料理屋を訪れるも、あいにくの満員。
その場でググって出てきたカレーのお店は、営業時間が終了。

ついでにフェリーターミナル前の飲食店も、とっくに営業終了している。
利尻島、飲食店が閉まるのも結構早いのね。。。

こうなったら・・・

セイコーマート 利尻店

セイコーマートだっ!!

あんたがいて良かったぜ、セイコーマート利尻店。
ツラいこともたくさんあったが・・・
セコマがいてくれたから、この旅は楽しかった。

セイコーマート イートインコナー

イートイン・コーナーだ!!

店内手作りのホットシェフに、イートイン・コーナー。
もはや「楽園」といって差し支えない。
そうだな。心から、そう思う。

セイコーマート カツカレー

カツカレーだ!!

お値段575円にして、956カロリー。
レンジでチンしなくても、店内で揚げたカツとカレーが温かい。

カツカレーの匂いを店内に充満させつつ、貪り食う。
最高にうまい。

あっという間に平らげて、満腹。

さぁ、あと少し。
ホテルに戻るのが、最後のゴール。

旅の仲間、セコマともお別れの時だ。

ドザァ!!
(リュックを背負い・・・)

グイっ!!
(イヤホンを装着し、音楽を聴きながら・・・)

静かな利尻島の夜道。

最後の力を振り絞って、ホテルへと歩き始めたのであった。

第三部・完

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tonogata
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