「東急ステイ函館朝市」をもって、函館の「覚醒」は成った。インフィニティ屋上露天風呂と、朝市連動朝食

東急ステイ函館朝市 灯の湯

2021年4月26日、函館駅の近くにホテル「東急ステイ函館朝市 灯の湯」がオープンした。
最上階の18階には露天風呂を備え、朝食券はホテル前の函館朝市にある店舗で自由に使える。
東急ステイ函館朝市 灯の湯

高くそびえるホテル、その麓には函館朝市が広がる。
道路を一本挟んで、後ろには函館港の海。

東急ステイ函館朝市 外観

函館駅から徒歩2分のところに、函館朝市がある。
その朝市の駐車場跡地に、ホテルは建設された。

建設したのは札幌に本社をおく中和石油株式会社。
自ら建設したホテルを運営会社に賃貸するというビジネスモデルで、東急ステイとのコンビは札幌に続く2棟目。
しかし開発当初は、市場の駐車場をホテルにすることに朝市側が反発
そこで中和石油の社長が朝市側に直談判し、ホテル朝食をホテル内で提供せず、朝市の各店舗で朝食券を使えるようにするという提案で開発の話がまとまったのだという。
「(社長の)杉澤氏が函館ラサール高校出身という縁もあって話は進み」というローカル色溢れる開発ストーリーも、なかなか素敵。

そして個人的な観点としては、屋上露天風呂
海と市場に挟まれた立地、高さ18階の露天風呂からの眺望は、如何に。
そして露天風呂で濡れた体を、高層階の北国の風で乾かす体感は、どんなかしら。

行かねばなるまい。

函館に。

函館山からの夜景
函館山からの夜景(iPhone11 Pro)

れっつらゴー!!

高さ18階のインフィニティ露天風呂

このホテルの大浴場は、18階にある。
後ろは函館港の海、前は函館朝市。

風呂は「オーシャン・ビュー」「シティ・ビュー」の2系統があり、日によって男女で入れ替え。

オーシャン・ビュー露天風呂からの眺めは以下(公式HP画像)。
海と一体化したインフィニティ風呂となっており、広さはそれほどないが4人くらいは入れる。

東急ステイ函館朝市 露天風呂 シービュー

夜になると、港湾施設や対岸にある街並みの煌めきで、多少は夜景っぽくなる。
縁に寄って左手をのぞむと、夜の函館山。函館山を登っていく車のライトが、木に遮られてチラチラと輝く光景もなかなか趣深い。
有名な函館山からの夜景でいうと、このホテルの位置はちょうど「くびれ」の部分にあたる。
山の頂上からはたくさんの人が夜景を楽しんでいるワケだが、こちらは露天風呂からそれを逆夜景で眺めているという構図。

真下を見下ろすと、青函連絡船記念館摩周丸が見える。
その甲板を歩く人の姿も目視可能で、朝には散歩する人がフラフラと歩く姿、夜には懐中電灯で照らしながら巡回警備にあたる人の姿を、ぼんやり眺めながら風呂でまったりできる。

しかし、このホテルの凄みは「シティ・ビュー露天風呂」の方にある。
男女で日替わりなので1泊の場合はどちらになるか運次第だが、個人的にはシティ・ビューがスゴかった。

ちょっと画像が分かりにくいが↓画像(公式HP)は内風呂で、左手の奥に露天風呂がある。
(ちなみに内風呂もそんなに広くない)

東急ステイ函館朝市 露天風呂 シティビュー

その露天風呂だが、函館朝市が一望できる。
位置関係と距離感を赤線で示すと、以下の通り。

東急ステイ函館朝市 露天風呂 函館朝市との距離感

露天風呂から、見下ろせば市場。
18階分の距離はあるので、市場を歩く人と目線が合わないくらいの遠さはちゃんと確保されている。
とはいえ市場の店が開店のためにシャッターを上げる音などはダイレクトに聞こえてきて、臨場感がある。
市場の活気を、湯気越しにぼんやり眺めながら入る朝風呂って、素晴らしい。
インフィニティ市場風呂って新しい境地だ。市場と風呂の境目は明瞭なのでインフィニティではないけど。

そして視線を上げると函館駅、その向こうには五稜郭タワーのシティ・ビュー。
駅前のロータリーにいる人の姿も視認可能で、朝風呂に入っていると駅方面からぞくぞくと函館朝市に人々が歩いてくる姿を観察できる。

注意点があり、このシティ・ビューの方はやはりそこそこの距離感なので、露天風呂の前面に網カーテンがかかっている。
網のままだと、ぼんやりとした眺望しか得られないが、この網はカーテン方式で開けることが可能。
カーテンを開けるとダイレクトに市場ビューが目に飛び込んでくるというワケ。
女風呂の日はカーテンを締めきってそうだが、シティビューが男風呂の日は誰かがカーテンを開けたらずっとそのままのことが多かった。

しかし、(カーテン方式とはいえ)この距離感でシティ・ビューの露天風呂が成立したことに、個人的にはかなり驚いた。ブラッサム大分に次ぐ衝撃だ。
通常だと、やはり視線対策の観点から、こうした眺望を得るのは難しいと思うんだな。
それを実現するには、大きなマインドチェンジが必要。

「視線からの解放」。

近距離のシティ・ビューを得るには・・・
外からの視線についての想念を棄却し、ただひたすらに眺望を求める眺望至上主義としての「強度」が必要になる。

東急ステイ函館朝市は、それをやり遂げた。
覚醒したのだ。

「東急ステイ函館朝市」が実現した「覚醒」露天風呂は、全国的にも貴重に思う。
次に続くホテルがでてくることを、願わずにはいられない。

このホテルの大浴場、「脱衣所が狭い」とか「露天風呂はともかく内風呂のサイズが物足りない」とか色々あるが、露天風呂における眺望確保が突き抜けているので、個人的には大満足でありました。

函館朝市で食べるホテル朝食

先述の通り、このホテルの朝食は函館朝市との連動朝食となる。
函館朝市にある15店舗でホテルの朝食券を提示すると、その朝食券で食える専用朝食メニューが店毎に4種類くらい用意されている形。

東急ステイ函館朝市 朝食券が使える店舗の地図
東急ステイ函館朝市 朝食券が使える店舗リスト

また、その朝食券は滞在期間中なら日付・時間を問わず使えるので、かなり使い勝手がよい。
店が開いていれば、昼飯や夕飯に使ったり、1日に朝食券を2枚使うことも可能。

部屋には朝食券が使える店舗の地図とメニューが用意されており、滞在中にそのカタログを眺めながら、「明日はどのお店で食べようかしら」と楽しめるというワケ。

東急ステイ函館朝市 朝食メニューのカタログ

朝食メニューは店によって様々だが、やはり市場だけに海鮮丼などが充実している。
函館で有名なイカ刺しも、あり。
営業時間については、朝6時からやっているお店も結構あった。

宿泊プランに朝食をつけていない場合、フロントで朝食券を1650円で購入可能。
ただし朝食メニューによっては1650円の朝食券より「普通に買って注文した方がいいな」という場合もあるので、行きたい店と食べたいメニューを決めて、相場観をチェックしてから購入した方が良いと思います。

以下、自分が朝食券で訪問したお店。

1軒目は「巴丼」(うに・いくら・ほたて)で有名な「きくよ食堂」(本店)

東急ステイ函館朝市 朝食店舗 きくよ食堂 外観

東急ステイ専用のメニューから「3種お好み丼」、具材は選べるが巴丼風にウニ・イクラ・ホタテを指定した。
通常メニューの「3種お好み丼」は、レギュラー1958円、ミニ1628円。
東急ステイ専用メニューはサイズ感からして「ミニ」の方で、ただし通常メニューにはない小皿が追加されている感じだった。

東急ステイ函館朝市 朝食店舗 きくよ食堂本店 3種お好み丼

やはり、朝から市場のウニが食えるのは、うれしい。
文句なしに旨いです。

2軒目は、ホテルの目の前にある「すずや食堂」
こちらは朝食メニューに「朝食のおかずバイキング付き」とあったので、ちょっと試したく。

東急ステイ函館朝市 朝食店舗 すずや食堂 外観

東急ステイ朝食券を提示すると、専用メニューが渡される。
選択したのは「選べる海鮮5色海鮮丼」。「海鮮」が2回も入ったチャーミングな丼だ。
具材の選択は、ウニが追加料金400円だったため、ウニを外して「イカ、サーモン、ほたて、ネギトロ、いくら」とした。

セットでついてくるバイキングも、なかなか充実していた。
種類は多くもないが、海藻類や魚介など、市場風のおかずが個性際立つ。

東急ステイ函館朝市 朝食店舗 すずや食堂 バイキング

五食丼と、バイキングから拾った品による、当方の朝食全景はこちら。

東急ステイ函館朝市 朝食店舗 すずや食堂 朝食全図

素晴らしい充実度。
今回訪問した中では、ここが一番良かったかも。

3軒目は、「はこだて浪漫館」。
こちらを選択したのは、東急ステイ朝食メニューの中で唯一「活イカ定食」があったから。
※「イカ刺し定食」は他にもあるが、獲れたての「活イカ」は他店の東急ステイ朝食にない

地図を見ながら店舗に行くと、「朝食は向かいの店で」とご案内。
早速「活イカ定食」を注文すると、「ごめんね~、今日はイカは割当制で昨日は10杯ほど入ったけど、今日は入ってないのよ~」とのこと。

落胆のまま「三色丼」で塩水うに・ホタテ・イカを注文したが、イカに拘ったせいで白っぽい丼になってしまった(笑)
ただ小皿とかも充実しており、美味しくいただけました。

東急ステイ函館朝市 朝食店舗 はこだて浪漫館

ちなみにコレを食ってる最中で、店員のおばさんが「ごめんね~、活イカ、いま入荷できちゃった」と教えてくれた。

おー尿!!
(Oh,No!!)

ラウンジKagayaki(17階)

ホテルの17階には、無料ラウンジ「Kagayaki」がある。
18階の風呂とは階段で繋がっているため、風呂上がりに寄るのも可能。

東急ステイ函館朝市 ラウンジKagayaki

有料ドリンクのセットメニュー提供もあり、例えば1000円でアイスクリーム・ドリンクなど。
17階Lounge灯について

コチラには無料のコーヒー・サーバーもおいてあったので、自分は主にコーヒーをいただいて飲んだ。
窓が大きく、朝風呂帰りにコーヒー飲みながら、函館山を眺めたり。

東急ステイ函館朝市 ラウンジKagayakiからの眺望

なかなか良いラウンジでした。

なお、無料コーヒーは1階にもある。

部屋(スタンダードツイン/19㎡)

宿泊したのはスタンダードツイン(19㎡)。
19㎡あると、割と余力がありますね。

東急ステイ函館朝市 スタンダードツイン・ルーム

部屋からの眺望は市場ビューで、函館朝市を見下ろすことができた。
↓写真の下の方に、朝食でお世話になった「きくよ食堂」の黄色い看板も見える。

東急ステイ函館朝市 部屋からの眺望

東急ステイのコンセプトは「洗濯乾燥機やミニキッチンを備えた中長期滞在ができるホテル」ということで、部屋の設備が充実していた。

部屋に洗濯機とか電子レンジがあるのは嬉しいね。
あと電気ケトルはバルミューダのものだったのがサプライズ。

東急ステイ函館朝市 洗濯機・電子レンジ・バルミューダのケトル

部屋には無料ドリンクなし、有線LANもなし(WiFiのみ)。
長期滞在なら有線LANはあった方が嬉しい気がする。

ちなみに1階エレベーター前には「柔軟剤バー」があったが、人気らしくスグ売り切れてた。

東急ステイ函館朝市 柔軟剤バー

「柔軟剤バー」って、初めてみた(笑)

その他、無料の紅茶パックなんかも1階エレベーター前にあり。

なお、部屋には風呂もついていたが、使わなかったので今回は割愛。

そのほか

ホテルの1階には、アイスクリーム屋が入っている。
北からの贈り物」という小樽が本店のチェーンで、お水にこだわったアイスを作っているのが特徴だそうです。
17階のラウンジでも、こちらのアイスを提供している。

店舗はホテルのロビーと一体化しており、アイスを買ってロビーで食える感じですね。

東急ステイ函館朝市 北からの贈り物
奥の方にあるのがアイスクリーム店舗のカウンター

抹茶アイス(450円)、ブレンダーアイスとかいってクッキーが混じっており、旨かったですよ。
でも、ちょっと高いネ。

東急ステイ函館朝市 北からの贈り物 抹茶ブレンダーアイス

最後に、こちらのホテルはかなり気に入ったが、大きな問題点が1つ。

エレベーター2基では、足りてない。
17階のラウンジに行く人、18階の風呂に行く人、1階に降りる人・スタッフの移動・・・
宿泊者の交通量が結構あるので、エレベーターはかなり待たされたし、やっと来たと思っても「満員ですか・・・、あ、僕は大丈夫です次に乗ります」事案がまぁまぁ発生した。

そこそこ部屋数のあるホテルなので、そこはなんとかして欲しかったでござるね。
今からでは、もうどうにもならんと思うけど。

最後に、こちらのホテルは総合的にはかなり気に入ったので、また再訪したいと思います。
一方、函館は7月にもインフィニティ露天風呂を備えるホテルが開業するので、そっちもちょっと楽しみ。
ただコチラの眺望は、オーシャーンビューのみかな?
函館湯の川温泉 海と灯/ヒューイットリゾート 2021年7月1日、函館市湯川町に新規開業

なんの流れか知らないが・・・
東急ステイを呼び水として「屋上露天風呂の波」が来ているのかもしれない。
函館の覚醒。
遂に来たか、屋上露天風呂のラッシュが。

たぶんコレで打ち止めだと思うけど。

ほい。

そんな感じ。




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