シンガポール「チキンライス戦争」。「天天海南鶏飯」を支えた料理人が経営者との仲違いから独立、2軒先に開店。その悲しみを、俺が。

チキンライス戦争

時は2012年。
場所はシンガポール。

20年間の長きに渡り、老舗有名店を支えた料理人が、、、
新しい経営者と衝突して独立。
開いたお店が、2軒先のスグそこ。
客は、どっちにつくのか?

これ、「チキンライス戦争」と呼ばれ、シンガポールの新聞を賑わせたらしい。

今、この時点でも、シンガポールのチャイナタウンの一角では、
壮絶なチキンライス戦争が、毎日のランチタイムに繰り広げられているという。

でも思うの。

そんなのって。。。

そんな悲しい話って、ないよ。

だって。
チキンライスを、、、
老舗の名店の味を、、、
愛する気持ちは、みんな同じハズだ。

やめるんだ。。。
みんな、戦うのをやめるんだ。

俺がッ!!

この俺氏が、今ッ、この場でッ、、、
この戦いを終わらせるッ・・・!!

そーゆー話なんですが。

シンガポール「チキンライス戦争」(チャイナタウン)とは

それで、その。。。

シンガポールと言えば、チキンライス。

分かります。
茹で鶏と、その茹で汁で炊いた米を共に皿へ盛り付けた「ハイナンチキンライス」。
海南鶏飯 – Wikipedia

チキンライスと言えば?
チャイナタウン。

分かります。
チャイナタウンにあるホーカーズ 「マックスウェル フードセンター」。

2020年 シンガポールのグルメ・レストラン・ランキング 10選 [トリップアドバイザー]

その「マックスウェル フードセンター」で、最も旨いチキンライスと評価されるのが、、、
「天天海南鶏飯」(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)。

天天海南鶏飯 (シンガポール) 最新のレストランの口コ(2020年) – トリップアドバイザー

2012年、その「天天海南鶏飯」から、20年間お店を支えた料理人が独立した。
新しいオーナーの経営方針に反発して。

当時の新聞記事がコチラ。

http://ja.scribd.com/doc/102335790/The-Straits-Times-Life-Chicken-Rice-War-at-Maxwell-Road-Hawker-Centre#scribd

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「天天海南鶏飯」から独立したお店の名前は「Ah-Tai Hainanese Chicken Rice」(アータイ・チキンライス)。
阿仔海南鶏飯 (シンガポール) の口コミ167件 – トリップアドバイザー

新聞の記事を読んで、経緯を追ってみる。

庶民の台所たる屋台村、ホーカーズで老舗として営業する「天天海南鶏飯」。
20年の歴史を経て、2010年にオーナーの娘が新しい経営者となった。

オーナーはビジネスを拡張し、今ではエアコン付きの支店も、いくつか街にできた。
会社は大きくなり、従業員数も屋台の延長だったホーカーズ時代の数人から、30人に増えた。
当然の成り行きとして、社則が設けられ、「社員」は管理される体制へ。。。

料理人のWong氏は言う。

Instead of acknowledging my contributions as a chef there all these years,I was blamed for minor wrongidoings,like not managing my workers well.
長年、料理人として貢献してきた。
その俺が、部下を上手く扱ってないとか、そういう細かいことで非難されるんだ。

オーナーのLoi氏は語る。

He often threatened and shouted at his co-workers over minor slip-ups<略>
彼はよく、他の料理人をちょっとしたミスで、怒鳴ったりするんです。
もう私は小さな屋台の店長ではありません。30人も従業員がいるんです。
彼だけを特別扱いはできないんですよ。

結局、料理人のWong氏は、同僚の料理人を何人か連れて、店を出た。

そして、同じ「マックスウェル・フードセンター」の、それも2軒先に店を開く。
店の名前は、「アータイ・チキンライス」。

チキンライスの値段は、2.5シンガポールドル(225円)にした。
「天天海南鶏飯」のチキンラインスは、3シンガポールドル。

オーナーのLoi氏は語る。

このフードセンターには、すでに4軒以上もチキンライスの店があるんですよ?
どうかしてます。
いったい彼は、何を証明しようっていうんですかね?

料理人のWong氏が答える。

俺のチキンライスを食いに来てた客に、今後も同じ場所でチキンライスを提供するためさ。
「天天海南鶏飯」のオーナーは、引き続き「ビジネス」を続けるだろう。
俺も、俺のチキンライスを作り続ける。
それだけだよ。

これが、2012年の話。

結果はどうなったか?

自分はこの話を、↓の本で読んで知った。

シンガポール¥1000でできること (―)

シンガポール¥1000でできること (―)

  • 作者:山下マヌー
  • 発売日: 2014/03/10
  • メディア: Kindle版

そこでは、「当時の軍配はアータイにあがったが、時が経った今では、やはり知名度の高い「天天海南鶏飯」に人が並んでいる」というようなことが書いてあった。

オーケー。

俺が行く。

俺が行って、この悲しい戦いに終止符を告げる。

いざ、シンガポール!!

「マックスウェル・フードセンター」へ

早速、どじゃーん。

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チャイナタウン駅に到着。

チャイナタウンは観光客で大賑わい。
そんな平和な街を抜け、8分ほど歩くと今回の戦場、「マックスウェル・フードセンター」へ。

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中に入ると、左右にたくさんのお店が並ぶフードコート形式。

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この左右にお店が並んだストリートが、4本ほどある。
なので、お店の数はかなり多い。

「天天海南鶏飯」(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)

早速、青い看板の「天天海南鶏飯」(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)へ。
庶民派チキンライスでは、最も有名なお店。

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結構並んでますな。。。

看板のメニューを見ると、「チキンライス」は3.5シンガポールドルの模様。
新聞記事の時から、ちょっと値上げしたのね。
315円くらいだから、安いけど。

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早速列に並ぶ。

自分の番がきたら、チキンライスを頼んで、その場で会計。
更に進んで、隣の窓で料理を受け取る。
トレーやら箸が置いてあるので、自分でピックアップ。

そして、きましたチキンライス。

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茹でたチキンと、その茹で汁で炊いた米。

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美味そうです。

しかし。

食ってみると、チキンもライスも、冷めちゃってた。
美味しいんだけどねぇ。。。

こう、冷めちゃってると、なんとも。。。

んー。

やっぱ混雑してる時間はアレなんだろうか。
もうちょい、余裕のある時間にこないと、何ともなぁ。。。

「アータイ・チキンライス」(Ah-Tai Hainanese Chicken Rice)

ふと目をあげると、2軒先には元料理人が独立したという、あのお店が奥に見える。
「アータイ・チキンライス」。
あっちも青い看板にしたんだな。。。

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店の前にきてみると、、、

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おぉ。
空いてる。
全然並んでない。

「こっちも食って見るべし」と思い、中華街を観光してから戻ってきた。

サイズはスモールをチョイス。
3ドル。
約270円。

「天天海南鶏飯」より、50円ほど安い。
しかもスープ付き。

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並ばずに注文できたからか、こっちはホッカホカ。
いい匂いがします。

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夕方だったので、ちょっと写真が暗いのが残念。

しかし。

食べてみると、ホロリとほぐれるチキン、香り立つライス。
最高です。

実に美味しい。

全くの妄想なんだが、これ、日本で言うと牛丼みたいな扱いなのかな?
サッと注文して、スババっとかき込む、どんぶり飯なソウルフード。

いやぁ、いいメシだ。

まとめ

さて。

俺氏は、チキンライスを食いにきたワケではない。
チキンライス戦争を終わらせにきたのだ。
恐縮ながら。

それで。

混雑してて暖かいのが食えなかった「天天海南鶏飯」のことを、考える。
振り返る。

多分、ちゃんと食えれば、すごい美味しいと思うんですよね。
評判通り。

そーゆー意味では、どっちかにお客さんが偏る、列をなす、というのも、、、
悪い面ばかりじゃない。
かもしれない。

結果的に、片方が空いて、できたてが食えるんだから。

とはいえ、一方が閉店するほど閑古鳥が鳴いては、意味がない。

ほどよい緊迫感。
これ、必要。

なるほど。
オーケー。

そういう意味では、、、
チキンライス戦争?

いいぞ。
もっとやれ。

そう、思いました。

※2015/08/17追記
日本にもチキンライスの有名店ができたらしい。
http://tg.tripadvisor.jp/news/advice/singapore_chickenrice/

https://www.bousaid.com/tag/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB

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