マリオットのルームアップグレードおけるGXPの運用とAI(ACU)の役割

マリオットのルームアップグレード

マリオットのルームアップグレードは、どのように決まるのか?
また、どのように運用されているのか?

2025年7月からは「ルームアップグレードにAI導入」という話もあったので・・・
状況について検索した結果について、メモにて。

GXPによるルームアップグレード運用

マリオットのGuest Experiences Platform(GXP)は、Salesforce CRMを基盤としたシステム。
客室割当機能などを有しており、ホテルのフロントスタッフが閲覧可能なアップグレード・ダッシュボードも表示する。
ホテル側では毎日このアップグレード・ダッシュボードで、当日のUPGを含むルーム・アサインを決定する。

アップグレード・ダッシュボードでは、当日到着客のリストとUPG優先順位自動的に割当られた部屋が表示される。
到着客のリストとしては以下のような項目が表示され、さらに「VIP」「High Priority」などタグ付けもされている。

  • 会員ステータスと獲得年数(例:Titanium, 5年目)
  • 過去の宿泊回数(そのホテルのリピーターかどうか)
  • よく宿泊するブランドやロケーション
  • リクエスト傾向(例:高層階、静かな部屋)
  • 特別な日付(誕生日・結婚記念日など)

スタッフは毎日このリストを見ながら、UPG優先度の高い順にポチポチとルーム・アサインを決定していく。
つまりGXP上では、その日の顧客の優先順位を1位から順番にランク付けしている。
その上で、GXPの提案したアップグレードを承認するか、現場判断で変更も可能。

また以下のような要素も、実際のアップグレード結果に影響する。

  • Nightly Upgrade Awards (NUA)は最優先される
  • 一度決まったルーム・アサインでも、到着時点で部屋の清掃が済んでなければ、手動で変更される

そのほか、ホテルの独自方針で微調整もありうる。
「ステータス重視」とか「予約料金重視」とか。

AI(ACU)によるアップグレード・ランク判定

では、現場スタッフが目にするGXPのルームアップグレードは、どのようなロジックで決まっているか?

アップグレードの優先順位は、アップグレード・ランクというスコアで決まる。
これは、ステータス・利用額・滞在日数などを絡めた、複雑なアルゴリズムで決まる。

更に、2025年7月14日からはAIが導入され、アップグレードのアサインはますます自動化されていくという。
導入されるのは、「ACU」(Automated Complimentary Upgrade/自動無料アップグレード)というAIシステム。
Prepare for Automated Complimentary Upgrades (ACU) Launch on Jul. 14

AI(ACU)によるスコア計算は非公開で、詳細不明。
今までのアルゴリズムと同様に、以下のようなパラメータを加味しているのではないかと予想されている。

  • 予約料金(この観点では無料宿泊は最もスコアが低くなる)
  • 会員ステータス(高ステータスほど優遇する)
  • 宿泊日数(滞在が長いほど優遇する)

そのほか、記念日や過去の宿泊アンケートの結果(悪いFBが続いている場合は優遇して顧客体験を改善する)など。
少なくとも「ステータス・予約料金・宿泊日数」みたいな一般的に予想されるパラメータは、重視されそうですね。
マリオットでは、ゴールド会員以上でルームUPGのチャンスがあり、プラチナ以上ならスイートルームも可能性はある。

マリオット プラチナ ステータス特典

とはいえ、「それだけで決まるわけじゃない」というのもポイント。
そこが「AI」(もしくは単なる機械学習+α)を使う妙というところで。

AI(ACU)によるアップグレードは、単なる「ステータス&予約料金&etc」による計算に留まらず、そのゲストの将来的な売上寄与をモデル化して判断することを目指している。

つまり全顧客の属性ごとの実績データをモデル化した上で、「この人、ここでUPGして好印象与えれば、高めの料金で何度もリピートしてくれるタイプの人」とか予想できるなら、バンバンUPGしちゃう、みたいな?

1. コアアルゴリズムは、ゲストの見込み生涯価値、つまりブランドとの将来のエンゲージメントの可能性をモデル化しようとします。この予測要素は、特定の客室タイプや追加アップグレードの優先順位付け基準に統合され、現在の予約に関する単なる取引評価から、より将来を見据えたデータに基づいた客室割り当てへと進化します。


2. システムは機械学習を積極的に活用して意思決定ロジックを洗練させています。過去の客室割り当てを分析し、その結果をゲストのフィードバック指標(客室体験に関する滞在後アンケートのスコアなど)と相互参照することで、AIは内部パラメータを統計的に調整します。これは基本的に、ゲストの満足度(または満足度の欠如)と最も強く相関する割り当てパターンを学習することで、実際の結果に基づいて時間の経過とともに予測割り当て機能を向上させることを目指しています。

Marriott Tech Overhaul How It Could Alter Your Booking Experience

最終的に、特段の攻略方法みたいなのはないが、「宿泊後のアンケートも影響するんだな」というのは、ちょっと面白かった。

あなたのアップグレード・ランクは?

あなたのアップグレード・ランクは?

私は、喉から!

あなた~の財布に狙いを決めて♪

アップグレード・ブロック!!

ご覧の通り、当方のアップグレード・ランクは非常に厳しそうです。

機械学習で顧客の実績がモデル化され、アップグレードの判定に使われるというのは・・・
流れとしては「未来志向の金額連動」ですね。
ここ10年で粛々と進んでいる、金額連動ロイヤリティの未来版。

これは本質的に「お金をたくさん払う人を優遇する」という真っ当な話ではある。
ロイヤリティ・プログラムとして、個人的には面白味はなくなるなぁとは思う。

ただし導入当初など短期的には、ロジックが変な計算をして、変なアップグレードが発生することも、あるかもしれない。

参考

以下、GXPの使い方をマリオットのスタッフ間でQAしてるスレッド。

If a guest has an upgrade rank of 0, it is most likely an associate rate or complimentary room.
もしアップグレードランクが0の客がいたら、大抵は無料宿泊か、アソシエートレートです。

If any employees have questions about GXP/Digital guest services

以下もマリオットのスタッフ?によるコメント。
※ACU(AI)の導入前

the upgrade score is wholly outside of the property’s control. The algorithm is complex and proprietary but it’s comprised of spend, status, # of nights etc.
アップグレードランクはシステムで自動的に決まる。複雑なアルゴリズムだが、利用額・ステータス・日数が影響する。

Owners card

ACU導入に関して、スタッフ?の歓迎コメント。

 I am all for this feature by how it is going to work. It does make the Front Desk job easier because we manually do upgrades everyday so now it just happens and we acknowledge it. At least at my property it will make our job easier for us and Bonvoy Members.
AI導入は大賛成。少なくとも自分が働いてるホテルでは仕事が楽になる。
今までは、毎日アップグレード作業しなくちゃいけなかったのが、自動化されるんだから。

Prepare for Automated Complimentary Upgrades (ACU) Launch on Jul. 14

参考リンク。

FTでは、「AIって言いたいだけで、中身はちょっとしたアルゴリズムなんじゃないの?」という意見が大半を占めてました(笑)

ほい。

そんな感じ。

tonogata
tonogata

14件のコメント

  1. いつも有益な記事ありがとうございます。
    今年ようやくライフタイムプラチナに到達したのですが、拝見した限り暦年ステータスのプラチナよりライフタイムプラチナのほうがUGの期待薄なんですね。
    もっともロイヤリティ・プログラムの観点でいえば私にはもう忠誠心はないので、その対価としてのUGが受けられないのも納得するしかないですね。

    • ほかの方のブログ記事によると
      「ライフタイムステータスを管理するフラグが存在しない」ので
      そもそも考慮されてないとかなんとか……

    • 1000泊を超えてくるとそもそもUGされたいか?って話になってきてたりします。朝早く着いていくとこない時のアーリーチェックイン、ラウンジアクセス、レイトチェックアウトは嬉しいです。あとジムとか大浴場あるところも嬉しいかな。

    • どもども。
      VFTWの記事でも、「ハイアットはライフタイム資格を識別してるけど、マリオットはライフタイム資格をそれほどみてないっぽい」と書いてますね。
      システムでステータス更新している運用上、ライフタイム資格があるかどうかは識別可能なはずですが、GXP上で表示してないか、表示してても優先度が低いか、どっちがですかね~。
      これは今までの運用ということで、今後はどうなるか分からないという側面もあります。
      当方も一応、来年あたりからマリオットに復帰しようと思ってますが、長期的にはライフタイム・シルバーを目指す所存。
      特典恩恵というより、単なる「ジョギングにおける次の電柱」みたいな感じですが。。。

  2. これ宿泊だけじゃなくて“レストランなどホテル内施設の利用”まで絡んで来ると思ってます。
    これからは携帯キャリア感覚で目先の利益だけで会員ホッピングはしない方が良さそうですね。

    最近銀座のコートヤードのランチは割と利用してるので宿泊外でもまあまあお世話にはなってます。
    比較的リーズナブルで雰囲気もいいですよ。
    でもって他のマリオットグループのレストランについて情報が不足していますので詳しい皆様方教えて頂けると幸いです。

    なんにせよライフタイムで換算してるって事は
    早い話マリオットグループのホテルで結婚式と披露宴を挙げれば速攻で上の方まで行くって事でしょうね。

    • どもども。
      レストランでの飲食利用も含めて、ライフタイムでの金額はみられるかもしれないですね。
      JAL NEOBANKの住宅ローンでステータス付与の話を思い出しました。
      ただまぁ、ライフタイムの金額がみられるにしても、果たしてどの程度重視するかな、というのはあるので、今後どうなるか、ですね~

  3. 気になったのがゲストの見込み生涯価値、とは???もしかして年齢でしょうか??(;^_^A
    高齢者は不利?(笑)

    • どもども。
      機械学習で作ったモデルが、年を重ねると出費しなくなるとかだと、そういう側面もあるかもしれないですし、逆もしかりですね。
      単純に年齢でモデル化するのでなく、いろんな属性ごとのモデル化にするんでしょうけど。。。
      まぁ、どうなるもんかな、という感じですな。

  4. いつも興味深い記事をありがとうございます。
    ホテルのチェックインでは、宝くじに当たるような感覚でUGを楽しみにしていましたが、よく考えれば経済法則のみの世界だったのですね。少し残念ですが、この分野はAI導入には最適でしょう。
    また、以前、宿泊後アンケートに散々悪口を書いたホテルには、その後敷居が高く行きにくかったですが、記事を拝見すると却って有利になることもありそうで、勇気を出して再訪しようか、と思っています。

    • どもども。
      アンケートでリクエストをいれた場合、次の滞在で考慮されるとかは、あるのかもですね。
      自分はいつも面倒でアンケートとかいれてないですが、たまに、すごく良い滞在だったときだけ、アンケート回答したり。
      そういう意味では、アンケートで「良かった」とかいれても、逆に次の滞在には活きてこないんじゃないかという(笑)

  5. 某MOXYでOracleのUIを見たので、OracleCRMを使っていると思ってました。

    あと、UPGの有無はスタッフに左右される印象があったので、優先順位のみは納得しました。
    (普段はデスク指定をしているので経験の浅いスタッフだと迷惑なUPGされることも。。。)

  6. 有益な情報ありがとうございます。
    1年半前にスマホデビューした爺さんですので、最近はスマホばかりで、パソコンにお気に入り登録していたやじり鳥さんのブログをあまり吟味していませんでした(笑)。
    かなり長文ですがご了承くださいませ。

    ホテルによって曖昧だったアルゴリズムが少し共通化するのかもしれませんね。
    私はライフタイムプラチナ15年(1年足りないのですが・笑)で生涯宿泊日数2731泊(現在25連泊中の23泊目分は加算はされていません)でSPGから14年連続アンバサダーです。本当はライフタイムチタンになれるはずだったのですが、宿泊日数は1000泊を越えていてもなぜかライフタイム年数が8年で止まってしまって、3年連続8年という摩訶不思議な数値に文句を言っても(マリオットが言うことはすべて正しいという珍回答)ダメでした。ちなみにSPGには1996年頃に入会しているのに2000年となっています。

    でも、毎年実質250~280泊(ダブルカウントなどを入れるとこの数年は300泊を越えています、ただし嫌いなので何とかAMEXは所持しておりません)、消費金額は日本円で350~600万円(昨年が600万円、一昨年が450万円程度)ですので、大多数のホテルで一番良い部屋などスイート率はアップグレードばかりですが80%を越えます。
    部屋代以外にも私はわりと夕食も宿泊ホテルで食しますので、いくつかのホテルの料飲マネージャーや料理長からご丁寧な扱いを受けます。(その割には半田屋も御贔屓です・笑)

    しかしながら、ほとんどのホテルでスイートになりますが、現在宿泊するつもりのホテルの中で2つだけ(神戸シェラトンと名古屋マリオット)だけ一度もスイートにしてもらったことがありませんでした。
    スイートナイトアワード?(現在の名称は失念)は使いません、というか50泊目と75泊目のベネフィットでは選択しなくなりました。数年前に18泊分を所持して失効したこと、使えるホテルの一覧はないのかと当時の担当アホ・アンバサダーに問うと、「そんなものはねえだ!」というから、選ばなくなりました。

    だけれども、神戸シェラトンが今年の5月頃に初めてジュニアスイートになり、7月にスイートとなったことは正直驚きました。ここは値段が安くかつ自宅から近いという利点があります。8月下旬や11月なども年内10泊弱はしますのがあまり期待はしていません。安かろう悪かろうのホテルですから。
    9月には名古屋マリオット5連泊も期待できますかね。笑

    特定のホテルを多頻度利用すること、ホテル代はシニア割などで安めですがレストラン利用率とその単価が高いこと、ホテルからのアンケートはきちんと良い悪いを回答すること、スタッフには必ず親しく声掛けをすることなどを心がけています。
    担当アンバサダーへは、3か月ごとに、宿泊したホテルの評価を10点満点(なぜか10点以上という高評価もしています)で評価し批評も含め、各ホテルに連絡してもらえるようにしています。直近の3か月では1つだけ10点及び10点以上を出していません(神戸シェラトンです・笑)。

    現在の担当アンバサダーがとても有能なことも(過去6~7名の担当者がいたが出来不出来の差がとても大きい)あり、今後も利用したいと思います。まあ年寄りですからねえ、若い時のように移動するのが面倒なのです。それと飛行機嫌いなので、最小限しか利用しません。
    ただし、天候がよければ毎日歩きます。今日は34000歩余、足に豆ができました。

    今滞在中のホテルも25連泊ですが一番広いスイートです。昨年は30連泊で2番目のジュニアスイートでした。
    ここの総支配人と先日30分ほど話をする機会がありましたが、このホテルは1年前ぐらいにホテルシステムを変更したようで、それまで確認できなかった宿泊者の宿泊実績などが以前よりも明確に見える化されたと言われてました。
    例えば、私の生涯宿泊数は先の2700台で、過去このホテルに滞在した日本人ではトップだと言われました。それ以上は3000少しのアメリカ人が1名いたぐらいとのことでした。
    昨年までは、現在のステータス(アンバ、チタンなど)と当ホテルの利用実績で判断していたと言われてましたよ。
    だから、この記事を読んで、私は今後に期待が膨らんだということです。

    ※今回の予約は半年以上前にポイント(無料宿泊)で予約していましたが、はっきりは覚えてないですが予約してから2-3週間後には今のスイートが確定していました。
    ※どのホテルかは申し上げられませんが、多頻度利用する3つぐらいのホテルでは一番好きな(広さは2番目とか)部屋やスイートが確約されています。当然、そういうホテルではレストランなどで夕食もとりますし、料理長やシェフが薦めるものだえでなく体調面も含め自分の好みも配慮して頂けるので、ついつい長期滞在となります。来年の2月上旬まで130泊余の予約も入れています。
    (半田屋さんも大好きですが・笑)

    • どもども。
      2700泊は、すごいですね~。
      そこまでいくと、スイートUPG率が8割になるんですな。
      AIもありますが、DX化というかシステム化が進むことで、そのホテルでの宿泊実績が見える化されて、UPG率が高まる恩恵がありそうですね。
      ライフタイムチタンは、どうでしょうね。今だともうないみたいですが、そのうち復活するといいですね。
      あと3万歩はなかなかですね。当方は日常だと1万歩を意識してますが、なかなか。ジョギングすると超えますが。
      最近は暑すぎてたまらないですね。熱中症に気をつけながら走っております。

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