楽園の日々―アーサー・C・クラークの回想 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: アーサー・C.クラーク,Arthur C. Clarke,山高昭
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/06/01
- メディア: 文庫
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昨年アーサー・C・クラークが亡くなった際に、本屋で見かけた「自伝的な〜」の売り文句につられて買っておいた本だが、先日やっと読むことが出来た。
ただ読み終わってみると、期待していた「自伝的」な要素があまりない。
アスタウンディング誌の歴史にまつわる四方山話が、クラークらしい文章で綴られている。
皮肉、自慢話、諧謔。
例によって文章は面白いし、マニアじゃない自分でも楽しめる興味深いSF小咄もいくつか。
クラークの「アスタウンディング誌の黄金期」に関する記述をメモ。
>わたしにとってのアスタウンディング誌の黄金時代は1945年11月号で終わった
(なぜなら、原爆で)
>オッペンハイマーの有名な言葉にあるように、物理学者は罪を知った。
>そして、SF作家は少なくとも無邪気さを失ったのだ。
表紙の写真に書棚が移っており、日本語版の「宇宙のランデブー」が見える。
献本されたやつかな。
クラークがゲイかもしれないっていうのは、SFマガジンの追悼特集ではじめて知った。
そういえば、本書の邦題の元になった詩(本書中にも引用されている↓)の作者、テニソンもゲイらしく。
>若き日の楽園の日々を味わいながら、この渚を歩き回る
>科学のお伽噺と、時間の長い結果を心に抱きながら
詩は門外漢だが、この詩はどうもいいね。