書籍「DIE WITH ZERO」を読んだ。「記憶の配当」・「経験投資の金利」・「Go-Go,Slow-Go,No-Go」

「DIE WITH ZERO」(貯金ゼロで死ね)

「DIE WITH ZERO」という本を読んだ。
なかなか面白かったので、ここにメモにて。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

DIE WITH ZERO

基本的には「若いうちに、やりたいことにお金を使おうよ」という話。
多くの人が大量の貯金を残したまま亡くなってるのが勿体ないよ、みたいな。

現実問題「ゼロ」に到達できるかは、まぁ、ちょっとアレですが。

そういうタイトル本筋の話ではなく、個人的に興味深いパワーワードが3つあった。
そこら辺の考え方が「面白いな」と思ったので、その点について。

そのパワーワードとは、「Go-Go,Slow-Go,No-Go」「記憶の配当」「経験投資の金利」
1個目のは米国で古くから流布されている消費行動の分類だが、残りの2つは投資に例えてプライベート体験を解説しているのが、新鮮に感じました。

それでは早速、レッツらゴー!!

Go-Go・Slow-Go・No-Go

1998年に出版された「The Prosperous Retirement(Guide to the New Reality)」という本で、退職後の支出統計に関する「3つの段階」に言及されてい以降、米国では定年後に起きる変化を「Go-Go・Slow-Go・No-Go」としてファイナンシャル・プランナー中心に説かれているらしい。

  • Go-Go Years (65~75歳)
    • 健康問題はまだ比較的に少なく、やりたいことにお金をかける期間
    • ただし70歳以降は、少しずつ健康上の問題がでてくる場合あり
  • Slow-Go Years (75~85歳)
    • 健康問題や気力減衰の問題から、統計的に支出が減る期間
  • No-Go Years (85歳以降)
    • 支出がほとんどなくなる期間

上記のような統計データもありつつ、「若いうちに、やりたいことにお金を使おうよ」というのが本書の基調。

そうすると直感的に「でも老後資金が足りないから」と思うんだが、それに対してのアンサーは本書にはあんまない(多少は書いてある)。

「使い切ろうぜ」というよりは、「アリとキリギリスでいうと『アリ100%』が今の普通になってるけど、アリとキリギリスの中間を模索しようよ」の本だと思った方が良いんじゃないかと思います。
※実際に「アリとキリギリスの中間」は本書に言及あり

記憶の配当

経験は「記憶の配当」を生み出し、その恩恵は雪だるま式に増える。
人生の過程で何度も思い出し、そのたびに静かな喜びをもたらす。
特に体が動かなくなる老後においては、「記憶」の価値が増大する。

そのため、早い段階で経験に投資した方がいい。

「経験」とは、「大切にしたい人達と過ごす時間」「自分1人だけでも本当にやりたいこと」など、プライベートでの体験を指している。

例えば旅行・キャンプ・パーティー(飲み会)など趣味的なものも含め、プライベートでの思い出になりそうなこと。

ちなみにこの本の筆者の場合、「仕事でやりたいこと」は「経験投資」になると考えていない。
仕事が「趣味的にでも本当にやりたい場合」は除くが、それは稀少なので、という理由。

一方、この手の「若くして経験を積むことの重要性」はビジネス書でもよくある話なので、本書はその考え方の「プライベート版」という見方もできる。
その恩恵が「将来の賃金や更に高度なビジネス体験」ではなく、「老後の配当恩恵になるプライベートな記憶」にフォーカスしているのが本書。

経験投資の金利

お金から「価値」を引き出す能力は年齢と共に低下する。
加齢とともに、体力・意欲は減少するし、生涯で得られる「記憶の配当」の見込みも減少する。

お金から得られる「価値」は加齢で減少するので、経験投資の「金利」は加齢で高くなる。
例えば「仕事のために、今年の旅行を来年に延期する」のであれば、1年分の「価値の減少」や「機会損失」に値するような対価(金利)があるかを考えて判断する。

もし若ければ、体力もあって健康不安も少ないだろうから「実際に延長してでも実施できる」可能性は高く、延期の対価(金利)が「昇進アップ期待値増」なのであれば、延期するのもいい。

しかし定年間近であれば、そうした仕事面での恩恵も見込みにくい上、1年後の「体調不安」というパラメータもあり、よほどの対価(金利)がないと、延期は難しいかもしれない。

なんでもかんでも「お金を払ってすぐ実行」というワケにもいかないので、延長するなら「その対価」を考えてみるとよいのでは、という話。

個人的に、その査定は結構ムズくないか?とは思いますが(笑)

ほい。

そんな感じ。

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tonogata
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