飛行機の墜落事故で助かる確率の高い「座席位置」や「服装」、脱出用パラシュートについてチェック

飛行機が墜落したとき、着陸失敗して炎上した時。

生存確率が高い座席の位置ってあるんだろうか?

もし事故に巻き込まれた場合のために、準備しておくべきこと、覚えておくべきことはあるんだろうか?

個人用のパラシュートを持ち込めば、脱出の役に立つのだろうか?

いろいろ気になるところをチェックしたので、メモにて。

「後方座席」の生存率が最も高い(Popular Mechanics)

飛行機の座席は、自分で指定することができる。
LCCであっても、有料オプションで指定可能。

しかし、どの席を選べばいいだろうか?

飛行機が事故に遭った際に、

ちょっとでも生存確率が高い座席位置

は存在するのか?

これについての調査結果が、「Popular Mechanics」の記事にある。
Airplane Crash – Safest Seat – How to Survive Plane Accident – NTSB Data – Flight Records

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座席位置 生存率
前方座席(ファースト/ビジネス) 49%
前方座席(エコノミー) 56%
中方座席 56%
後方座席(翼より後ろ) 69%

後ろの方に座っている方が、生存率は高いらしい。
最前列の方に比べて、20%ほど生存率が高い。

この調査結果の前提。

これは、NTSBの調査報告ファイルから、生存者の座席位置を調べた結果。
調査の範囲は1971年から2007年頃にかけての、20件の事故。

10年以上前の、母数が20件のデータ。
※実際に使ってるのはもうちょい少ないっぽい

データとしての信頼性は、どの程度だろう。
今の機材だと、状況が違うのだろうか?
個人的には、判断がつかない。

ちょっと他の視点による調査結果もみてみたい。

やっぱり「後方座席」が生存率高い(Inside A Plane Crash)

ディスカバリーチャンネルで放映された「Inside A Plane Crash(Curiosity)」。

実際に飛行機(Boeing 727)を無人のリモートコントロールで墜落させて、機内の様子をカメラに収めている。

  1. 飛行機内にカメラ・センサーを設置
  2. 実際に飛行機を着陸失敗させてみる
  3. 座席位置による被害の結果をみてみる

ディスカバリーチャンネル公式の動画として、短くまとまっているので、実際にみてみるのが早い。

結果は、「後方座席が安全」。
※少なくとも翼より後方

前方座席は12Gの圧力をうけて木っ端みじん。
中列は6Gのダメージ。
後方座席は、あまり損傷を受けていない。

解釈については以下が詳しい。
Reduce Your Risk: What You Can Do to Survive a Plane Crash

What the simulated crash highlighted was that the passengers in the front of the plane, or the area commonly reserved for first class, business flyers, and economy seats, would not have survived. The passengers in the middle of the plane may have sustained major injuries, but some would survive. In the back of the plane, however, most passengers wearing their seatbelts would have walked away from the crash with minor injuries.

※要約
(このテストについて言えば)
前方座席(ファーストクラス、ビジネスクラス、前方のエコノミー)は生き残れないだろう。
中列座席については、多くが重傷を負うかもしれないが、生き残る人もいるだろう。
後方座席については、シートベルトさえ閉めていれば、無事に飛行機から脱出することができるだろう。

なるほど。

注意したいのは、あくまでこのテスト、この動画のような形で墜落した場合の結果であるということ。
異なる墜落の仕方をすれば、結果も異なると思われる。

しかし。

まぁ、

後方座席の生存率が高め

と言ってもいいのではないかな、と。
そう思いました。

非常口から5列以内、通路側の生存率が高い

後部列を選べば良いのは分かった。
しかし、具体的にはどのシートなのか?

Ed Galea教授が100以上の事故を調査して、次のような結果を出した。
Travel | Travel news, holiday ideas, destinations | MSN UK

He found that people seated within five rows of a serviceable exit were most likely to escape.
非常口から5列以内の座席だと生存率が高い

Passengers in aisle seats were also more likely to survive than those in window seats.
通路側の座席は、窓側の座席よりも生存率が高い

なるほど。

これは炎上する飛行機から、早く脱出できるから、という意味っすね。

後方座席の中でも、

  1. 非常口から5列以内
  2. 通路側の座席

が良い。

ちなみに、「非常口座席」というものは、緊急事態においてはCAを手伝うことに同意する必要があるそうですね。

非常口座席を事前予約されるお客さまへのお願い – JAL

  1. 満15歳以上の方(15歳未満の方はご指定いただけません)
  2. ご搭乗に際して付き添いの方や係員のお手伝いを必要としない方
  3. 航空機ドアの開閉等、緊急脱出の援助を実施することができる方
  4. 脱出手順の案内および乗務員の指示を理解し、他のお客さまへ口頭で伝えられる方
  5. 緊急脱出時に同伴者の援助をする必要がない方
  6. 緊急脱出の援助を実施することに同意する方

そこら辺の話は、以下に詳しい。
飛行機の非常用脱出口付近の座席について。 – 先日、デルタ航空で海… – Yahoo!知恵袋
エコノミークラスでの人気席「EXIT_LOW( 非常口座席)」 (胡乱(うろん)な日々)

さて。

ちょっと、実際にANA予約時の座席指定画面を見てみる。

ANA座席指定画面のサンプル

ANAのHPで、実際に座席指定をしてみることにした。

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まず、後方座席の方まで移動。
※画面右上のボックスに着目

それから、非常口と翼のマークをチェックしつつ、、、

って。。。

アッーーーー!!!

すでに席がほとんど残ってないやん!!!

みんな座席予約するの早いなぁ。。。
10月の便で、まだ7月なのに。。。

まぁ、非常口から5列以内、通路側の席がたまたま残ってたからよいけど。

ちょっと早めに席の指定をするようにしないとなぁ。

トラブルが起きやすいのは着陸時

しかし、実際のところ飛行機のトラブルは、いつ起こりやすいのか?

それについては、ボーイング社の調査報告があった。
http://www.boeing.com/news/techissues/pdf/statsum.pdf

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これによると、着陸時にトラブルが起きやすいらしい。
ファイナル・アプローチと、着陸のタイミング。
「Fatal accidents」(アクシデント)は、着陸時が41%。
「Onboard fatalities」(死に至った事例)は、着陸時が33%。

なるほど。

さっきのディスカバリーチャンネルの検証映像も「着陸失敗」の例だったからなぁ。

やっぱ着陸や、着陸態勢に入るファイナルアプローチのあたりが危ないのか。。。

また、離着陸、特に着陸が危ないという意味では、、、

The Safest Seats in an Airplane | USA Today

A better way to improve your chances of survival is by booking direct flights.
Most crashes happen during take off or descent, so limiting the number of landings will lower your chances of experiencing an accident.

乗継ぎ便ではなく、なるべく直行便を予約することが重要、と。

たしかに離着陸が増えるたびに、危険性は増えることになるので、直行便の方がいいよね、という。

また、「離着陸時が危ない」というのは、次のようにも表現できるらしい。

Most planes crash during the first three and last eight minutes of the flight
ほとんどのクラッシュは、フライトにおける最初の3分と、最後の8分に起きている。

The safest seats are at the back of the plane — and 5 other surprising facts about airline crashes

クラッシュを生き延びるための服は、綿かウール

着陸に失敗して、飛行機が炎上した場合のことを考えると、可燃性の服は避けた方がよいかもしれない。

Airplane Crash Survival – © Extremesurvive Survival School

Cotton or wool clothing is also preferable as it is less flammable.
綿素材やウールの服が好ましい。
燃えにくいので。

Wool is preferable to cotton when flying over water, as wool does not loose its insulative properties to the degree cotton does when wet.
ウールは更に、海に墜落して濡れた際に?、体温を奪いにくいので、より好ましい。

上記ページにもでてくるが、サンダルなどは動きにくいのでNG。

なるほど。

着陸に失敗して炎上した場合にやるべきコト

もしも、だ。

実際に本当に着陸に失敗した時には、どう行動すれば良いのか?

以下にイラスト付きでまとめてあった。

How to Survive a Plane Crash (with Pictures) – wikiHow

Wear long pants, a long-sleeve t-shirt, and sturdy, comfortable, lace-up shoes.

綿・ウールの服を着るって話すね。
サンダル、ヒールは微妙。

Book the right seats.

非常口を意識する。

Read the safety information card and pay attention to the pre-flight safety speech.

シートのトコに入ってる、安全情報の紙をちゃんと読む、と。
酸素マスクの付け方とか。

Make a plan.

脱出する際のプラン、非常口、考える。

Keep your seat belt securely fastened at all times.

常にシートベルトを締めておく。
いつ衝撃がきてもよいように。

Brace yourself for impact.

衝撃に備える。

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こうか。

前にシートがない場合はこう。

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Remain calm.
Remember that even in the worst wrecks, you do have a chance of survival.

落ち着く。

実のところ、ほとんどの飛行機事故には生存者がいる。

Keep in mind that about 95% of airplane crashes have survivors, so even if the worst does happen, your odds aren’t as bad as you might think.
95%のクラッシュには生存者がいて、最悪な事態に陥った時でも、生き残るオッズはアナタが考えるほど、悪くない。

冷静に行動すれば、生き残るチャンスも増える、と。
なるほど。

Put your oxygen mask on before assisting others.

他人の世話をする前に、まずは自分が酸素マスクをつける。
それが、例えば自分の子供であったとしても。

you have only about 15 seconds to start breathing through your oxygen mask before you are rendered unconscious.

酸素マスクが必要な状況で、酸欠で意識を失うまでに15秒しか時間がない。
手助けが必要な人間がいたとしても、自分が意識を失ってしまえば、二人が生き残るチャンスはゼロになる。
まず少なくとも自分が助かれば、その後で意識を失った他の人をケアすることもできる。

Protect yourself from smoke

煙から身を守る。
ハンカチで口と鼻を覆うなどして。

Get out of the airplane as quickly as possible.

素早く飛行機を脱出する。
自分の荷物をもって逃げようとしてはいけない。
たぶん、これは他の人の脱出の妨げにもなる。

Get at least 500 feet upwind from the wreckage.

飛行機を脱出できたら、少なくとも風上へ150m(500フィート)は離れる。

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飛行機が爆発した際に、巻き込まれないために。

特に注意したいのは「シートベルトの開け方」

Galea教授の有名なレポートがある。
※各メディアの各記事はコレを結構元にしてるっぽい

http://www2.gre.ac.uk/about/news/articles/2011/a2093-how-to-survive-an-air-crash

ちょっと意外だった点を特記事項としてあげておく。

After interviewing 1,900 survivors and 155 cabin-crew members, Professor Galea made an interesting discovery.
Most passengers lose valuable time because they struggle to undo their seatbelts.

1,900人の生存者と、155人のCAにインタビューした結果、教授は興味深い発見をした。
多くの乗客は飛行機から脱出する際に、閉めたシートベルトから解放されるところで苦戦し、貴重な脱出時間をロストしている。

シートベルトをあけるのに苦戦する?
どういう意味だろうか。

People tend to try and press a button on the seatbelt, because in this emergency situation they revert to normal behaviour. And what is normal behaviour for most people? Well, they experience a seatbelt in their car and in their car, which is a push-button system.

緊急事態で気が動転して、いつものやり方に固執してしまう。
つまり、彼らは車のシートベルトを解放するように、ボタンを探してしまう。
車のシートベルトはボタン式だが、飛行機のはそうでない。

なるほど。。。

確かに緊急時には、パニクって

うぉーーーー!シートベルトが!
ボタンがッ!、、、ないッ!!!

ってなりそうだ。。。

やはり、冷静になる、というのが重要なんすね。

っていうか、航空業界は飛行機のシートベルトを車の方式にすればいいのに。。。
なんか事情があんのかな?

パラシュートで空中脱出することは可能なのか?

着陸時でなく、空中で事故った場合はどうだろう。

例えば、手荷物として個人的にパラシュートを持ち込めば、生存確率を高めるのに役に立つんだろうか?

そーゆー意味で、興味深い動画があった。

スカイダイバー達が乗った飛行機が爆発する。
9人のスカイダイバーは緊急脱出してパラシュートで下降。
奇跡的に死者はでなかった。
※パイロットは脱出せずに緊急着陸し、助かった


AMAZING Skydivers Land Safely After Plane Crash [EXTENDED CUT] – YouTube

うーむ。

こーゆー助かり方もあり得るのか?

米国製で高層ビル脱出の高度用なら、以下のようなモノがある。

それから、国産だと以下とか。
「はやぶさ」の回収用パラシュートを作った「藤倉航装」。
http://www.fujikura-parachute.co.jp/products/parachute1.html

しかし、パラシュートで緊急脱出というのは、あまり現実的ではないらしい
なぜ飛行機では「パラシュート常時着用」にしないのでしょうか?(1/2) 【OKWAVE】

高度、気温、低酸素。

全ての点において、無理がある、と。
詳しい人たちのコメントがいっぱい入っていて分かりやすいので、↑を参考にするとよいかと思います。

あと、こっちも。

safety – Why are commercial flights not equipped with parachutes for the passengers? – Aviation Stack Exchange

こちらもスゴクためになる内容。
そもそも気圧の関係で、脱出口の扉は開かないってのもありそうだなぁ。
扉が開くレベルまで降下したとしても、墜落中なら脱出も何も、、、みたいな。

まぁ、パラシュートは現実的じゃない、ということか。

まとめ

以下、個人的なメモとして。

  1. なるべく直行便を利用する
    1. 事故は離着陸、特に着陸時に多い
  2. 綿かウールの燃えにくい服を着ていく
    1. サンダル、ハイヒールはNG
  3. 後方座席を指定する
    1. 20%生存率が高まるというデータもある
  4. 脱出口の5列以内の通路側の席にする
  5. シートベルトの開け方を頭に入れておく
    1. 車のシートベルトとは異なることに注意
  6. 衝撃に備える姿勢を頭に入れておく
    1. 酸素マスクの付け方も重要

こんな感じかな。

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