歯を1度抜いて、治療してから戻す「意図的再植」と、骨の再生医療「CGF」という治療をうけた

はじめに

「意図的再植」については、生着率や予後・治療期間など、インプラントと比べた場合のデメリットもあるとのこと。
詳しくはページ下部のコメント欄を参照ください。
※2019/04/14追記

歯根破折・歯根嚢胞

奥歯(6番)の歯茎が腫れて、膿がでてきた(痛みはない)。
歯医者でCTスキャンをとってもらったところ、歯根破折・歯根嚢胞の可能性があることが分かった。

「歯根破折」は、歯の根っこが折れているか、ヒビが入っている状態。
自分の場合は「たぶんヒビが入っている」とのことで、神経を抜いた脆い歯+メタルコアで固いモノを噛むと、歯の根っこにヒビが入ることがあるらしい。
歯根破折 自覚症状がないまま歯を失わないための5つの対策

「歯根嚢胞」は、歯の根っこに膿の袋ができている状態。
これはヒビの入った歯の根っこが影響していそうとのこと。
歯根嚢胞 – Wikipedia

またコレとは別に「歯を支える土台の骨(歯槽骨?)が、溶けちゃってる」とのことだった。
問題が山積みである・・・。


歯根 – Wikipedia

歯医者の所見は「これは抜歯が必要かも」というものだったが、奥歯を失うのはイタい。

この奥歯は10年前くらいに神経を抜いて既にクラウン(銀歯)+メタルコアになっているが、抜歯するとブリッジやインプラントしか選択肢がない。
「やってはいけない歯科治療」を読んで以来「インプラントは避けたい」と思っていたんだよな。。。

やってはいけない歯科治療(小学館新書)

やってはいけない歯科治療(小学館新書)

「金と時間はかかってもいいから、抜く前にやれることがあるなら、やっておきたい」と歯医者に相談した結果、根管治療を再度実施して、様子をみてもらうことになった。

根管治療では、いったん銀歯(クラウン)を外し、歯の内側から奥の方を掃除し、薬剤を詰める。
かなり昔、別の歯医者で治療したものだったが、外してみると銀歯の下が虫歯になっていた・・・。

そこで虫歯を削り、再びの根管治療。
医者曰く「歯を成立させる限度まで削ったが、虫歯箇所は残ってる」とのこと。悲しい。

そして結局、数ヶ月かけて根管治療した後でも、歯茎の腫れ&膿の問題は改善しなかった。

歯医者にきくと、「もう歯としてもボロボロだし、抜いた方がよい。でも『意図的再植』という最後の手段も一応ある。保険適用外で自費治療になってしまうけど」ということだった。

そこで「意図的再植」を受けることになったというワケ。

意図的再植

歯を1度抜いてから問題箇所を治療し、元に戻す(植える)「意図的再植」という治療を初めて受けることになった。

そもそも、1度抜いた歯を戻すことができるとは、知らなかった。

歯の根っこを覆っている「歯根膜」という組織が無事なら、抜いた歯を戻しても定着が可能とのこと。
そのため歯を抜いてから、歯根膜が乾かないうちに歯を修復し、元に戻す必要がある。
歯医者は「スピード勝負です」と言っていた。

ただ、「意図的再植」にリスクや問題点がないワケではない。

歯医者から説明されたのは、以下のような内容。

  • 抜いた歯を「やっぱりコレは戻せない」となる可能性がある
  • 戻した歯が定着せず、抜け落ちる可能性がある
  • 上手くいったとしても、歯の寿命が短くなる確率が高い(5年とか10年)

だいたい↓wikiに書いてあるようなことは、説明された。

短期的には抜歯の際に歯根が破折してしまうことがある(破折の仕方によっては再植できない)。
また感染を起こし歯根が早期に脱落してしまうことがある。
長期的には再植歯は骨性癒着を起こす場合が多い。理由として歯根は歯根膜に覆われているが、抜歯の際歯根膜が損傷してしまうことが多く結果として意図的再植術を行った歯は数年後、骨性癒着を起こす場合がある。

上記のように問題点もあるが本来抜歯となる歯の寿命を数年でも延ばせるメリットは大きい。
意図的再植術 – Wikipedia

ちなみに歯医者に「もし成功しなかった場合、次の一手はありますか?」と質問したら、「他牙再植といって、まだ生きてる『親知らず』を抜いて、コッチにもってくるという手術もある。でも歯の根っこの形も違うし、定着の可能性は落ちる」とのことだった。

今回、自分の場合は奥歯に歯根破折・歯根嚢胞と色々問題があり、昔で言えば「抜歯しかない」という状態だったらしいが、とりあえず今回はこの「意図的再植」(自牙再植)で延命した形。

手術当日は、歯根膜を傷つけないように、丁寧に歯を抜く。
そのため普通の抜歯より時間がかかるが、麻酔をしているので痛くはない。

当方の場合は歯根の形状が複雑だったらしく、歯医者が抜くのに難儀していた。

抜いた奥歯は、作業台の上で修復。
歯根に縦のヒビが入っていたが、小さいヒビだったためボンド?で修復できたとのこと。

また抜いた歯の奥にある「歯根嚢胞」も、キレイに掃除。
膿を取り切る。

そして修復した奥歯を、植え直す。

歯の根っこが複雑だったので、入れるのも一苦労。かなり時間がかかっていた。
医者曰く「こりゃパズルだな」

あとは歯茎に針で糸を通し、奥歯が落ちないように糸で上からおさえる。
歯を噛み合わせると糸を噛む形になるので、変な感じだ。

術後、クラリスロマイシンなど細菌の繁殖を抑える薬を、1ヶ月ほど服用。
2週間に1度のペースで通院し、様子をみる。

手術後の1ヶ月くらいは、治療した歯でモノを噛むのは禁じられた。
実際、間違ってモノを噛むと少し痛い。そもそも歯が多少グラつく感じもする。
歯が定着するまで、そっとしておく必要があるのだ。

そっとしておけば、特に痛むこともなかった。

1ヶ月経った後、特に痛みや歯がグラつく感じもなくなった。
今のところ、いい感じで推移しているようだ。
歯医者曰く「これでひと安心。ただ半年後くらいにレントゲンをとって、歯が定着したかチェックする必要アリ」とのこと。

「意図的再植」、結構時間がかかるのである。

現在では1ヶ月半ほど経過した状態で、モノは噛める状態。
ただ念のため、しばらく固いモノをその歯で噛むのは避けようかなと思っている。

CGF/AFGで骨の再生

今回は「意図的再植」と同時に、問題の歯が原因で溶けてしまった骨を修復するため、CGF(AFG)治療を行った。
インプラントの際に、事前治療として実施することが多いらしい。自分の場合はインプラントでなく「意図的再植」だが。
CGF治療 桝屋歯科医院

採血した自分の血液から「骨を再生するゲル」を作って、抜いた歯の奥に埋め込む。
自分の血を由来としたゲルなので、拒絶反応などのリスクが低い。

おお、これは再生医療じゃないか!とビックリした。
今の歯医者は、こんなことができるのか。

「意図的再植」の当日、まず抗生剤ロセフィン点滴静注用1gバッグを、100mlの生理食塩水とともに点滴。
これは抜歯時に細菌が問題を起こさないように、とのこと。

その後、採血された。
その自分の血液を遠心分離機にかけ、CGFを作る。
(医者はAFGと言っていたが違いは分からない)

そもそも歯医者が「遠心分離機」をもっていることに、ビックリです。
インプラント治療の一環として、街の歯医者にも普及しているみたいですね。

作成したCGFを、抜歯した歯の奥に詰める。
医者曰く「上顎洞に穴が空いてたが蓄膿症にはなってなかった。膿をとってCGFゲルで封鎖した」とのこと。

骨の再生には半年ほどかかるそうで、「意図的再植」の結果と併せて半年後にレントゲンを撮る予定。
1ヶ月ほど経過した今は「まだ海綿状で、骨にはなっていない」とのこと。

そういうワケで、最終的な結果は半年経たないと、分からない。
全体的に時間のかかる治療だが、「抜く前にやれることはやりたい」ということで、しばらく様子をみたいと思います。。。

費用と保険適用

今回行った「意図的再植」と「CGF治療」だが、かかった費用は全部で4.1万円だった。
「意図的再植」だけなら、もう少し安いかもしれない。

保険適用分4500円+自費治療分3.6万円。
術後に処方された薬(3種類)も含む。

ところで歯医者というと医療保険がおりないイメージだが、手術となると話はかわってくる模様。
通常の抜歯だと不可だが、ちょっとした手術なら保険がおりる可能性があるらしい。

下記は「歯根端切除術で保険がおりた」という話。
歯根端切除術を受けて生命保険の手術給付金は出ますか?10万円出ました。出る会社、出ない会社。

これも歯の根っこの治療で、自分の場合は奥歯なので「歯根端切除術」でなく「意図的再植」となった。

今回、自分がうけた手術名を明細でみると、「歯の再植術」(1300点)。

都民共済のサイトでみると、支払い対象の手術は「1400点以上」とのことだった。

お支払いの対象とならない手術とは、以下のとおりです。
1.診療報酬点数が1,400点未満の手術
お支払いの対象とならない手術

一応、手術単体でなく「診料」「処方料」など、領収書全体では1400点を超える。

そこで共済に電話して確認したが、「あくまで手術単体で1300点を超える必要がある」とのことだった。

惜しい。。。

そんな感じ。

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