アシアナ航空、10年越しの一撃「期限切れマイル計上」叶わず、売却へ



ASIANA AIRLINES

韓国の航空会社、アシアナ航空(スターアライアンス)が経営難で売却される。

そのニュースの中に、興味深い一文があった。

「顧客のマイルをめぐる不適切な会計」。

アシアナ航空は、格安航空会社(LCC)との競争激化で2018年の旅客機の平均稼働率が5割を下回った。

顧客のマイレージポイントなどをめぐる不適切会計も発覚し、18年12月期の連結売上高は7兆1833億ウォン、最終損益は1958億ウォンの赤字に転落した。

韓国中堅財閥、アシアナ航空売却へ 同国航空2位 資金繰り悪化で :日本経済新聞

もともと経営難だったところに、「マイルなどをめぐる不適切な会計」も発覚して・・・ということだが、不適切な会計とは何だろうか?


今年、アシアナ航空の監査法人が「マイレージの会計処理に問題アリ」としてストップをかけた。

アシアナ航空は監査法人の意見に従って財務諸表を修正し、その結果として純利益が大幅に減少することになった。

(マイル以外にも、機材リースの会計処理でも突っ込まれてたが、ここではマイルの話のみにて)

具体的に、どういう修正をしたのか。

↓記事をみると、アシアナ航空では「マイルの消滅 or 利用」による売上を多めに計上していたのが、ひっかかったらしい。

※関連記事は大抵韓国語なのでGoogle翻訳でチェックした

修正された財務諸表の当期純利益が大幅に減少したのは、マイレージの会計処理が変わったからである。

アシアナ航空は、飛行機に乗った客にマイルを付与する。このマイルは特典航空券やアップグレードで使用することができる。

問題は「マイレージをいつ収益として計上するか」である。

例えば100万ウォンの航空券を購入したときマイレージが1万ポイントであれば、チケット販売によるアシアナ航空の収益は1万ウォン相当のマイレージを除く99万ウォンだけだ。

マイレージ1万ポイントは、今後顧客が使用するタイミングで収益に変わる「繰延収益」である。

顧客がマイレージを使用するか(使用せずに消滅するか)、いつ使用するかは、推定するしかない

アシアナ航空はマイレージ繰延収益を多めに推定しようとしたが、サミル会計法人側は『より保守的に推定しなければならない』と考えた。

この違いのために、売上高390億ウォンが減少した。

(韓国語)アシアナ「会計ショック」は脱したものの… 投資家の不安は相変わらず



「有効期間が消滅するマイル」も収益として計上されるが・・・

アシアナ航空は、顧客がマイレージを使用する時点で「売上高」として計上する。

また、有効期間が消滅するマイレージも売上高に計上する。

(韓国語)大手航空会社、「マイレージ拡大」負債減少のコスト上昇

ちょうど韓国では今年、大量のマイル消滅が発生する予定。

もともとアシアナ航空は、マイルの有効期限がなかった。

それが2008年に制度を改定し、マイルの有効期限を10年に定めた。

そのため、今年から続々とマイルの期限切れが発生しはじめるという感じ。

大韓航空とアシアナ航空は、2008年に初めて「マイレージの有効期限」を定めた。

マイレージに寿命が設定されたのだ。そのマイレージの最初の消滅が、2019年1月から始まる。

(韓国語)航空会社のマイレージ8000億ウォン、なぜ来年に消える?



マイルの期限切れが大量に発生すれば、その分負債も減らすことができるワケで・・・

ただまぁ結局、それが会計監査で引っかかっちゃった。

会計業界関係者は、「アシアナ航空が今年から本格的にマイレージ消滅が始まる点を念頭に置いて負債規模を減らす方向で会計処理をした可能性がある」と見ていた。

http://m.businesspost.co.kr/BP?command=mobile_view&num=119989



韓国ではいま、有効期限切れによる「マイル大量消滅」が社会問題になっているらしく、民意も逆風らしい。

例えばアシアナ航空と大韓航空は、「消滅マイルの返還」を求めて市民団体から裁判をおこされている。

市民団体は、有効期限切れで消滅したマイレージの返却を求め、大韓航空とアシアナ航空を相手に訴訟を起こした。

本格的にマイルが消滅しはじめると、集団訴訟に広がる可能性も排除できない。

(韓国語)消滅マイレージ返してくれ

公正取引委員会も、調査に乗り出した。

公正取引委員会が大韓航空とアシアナ航空のマイレージ運営内容を調査し、両社のマイレージ規模は2兆8000億ウォン程度と判明した。

マイレージは、両方の航空会社の貸借対照表で負債として捕えられ、負債比率を高める。

しかし、今年からマイルが消滅すると、収益が発生して負債は減少すると予想される。

(韓国語)公取委の調査 航空会社のマイレージ規模と影響は

2兆8000億ウォン = 2800億円くらい。


大変ですね・・・。


マイルの有効期限が「10年」って、日本の航空会社の「3年」に比べれば長いと思うんだけど・・・

一方韓国だと「マイルの使い道が少なくて使えない」とか、いろいろ不満があるようです。

その点、日系マイルはSKYコイン・eJALポイントがあるし、他社ポイントへの交換やショッピングにも利用可能だし、まぁ恵まれてる方かもしれない。


そんな感じ。

この記事を書いた人 Wrote this article

tonogata
TOP