「パラダイス山元の飛行機の乗り方」を読んだ

「パラダイス山元の飛行機の乗り方」を読んだ。

これは基本的に、「飛行機に乗るのが好きな著者」によるエッセイ集。
マイル集めやステータス修行のノウハウ集ではない。

「飛行機が好きな人のエッセイ集」といっても、ピンとこないが・・・
著者の「フライト本数」と「嗜好性」が猛烈に尖っているので、話自体が面白い。

多い日には「1日11回」も飛行機に乗り、年間最多登場回数は1022回。
もちろん既に「ミリオンマイラー」(乗りまくらないともらえない超レアなステータス)

ただ「搭乗すること」だけを目的として、基本的に空港から外には出ない/観光もしない

「空港から外に出ない」!!

マジびっくりしちゃう。
飛行機に乗って行って、帰ってくるだけ。

「それって、面白いの?」という気がするんだが、まさしく「それが楽しくて飛行機に乗りまくっている」という。
そして、そのフライト本数はまさしく「雲上レベル」。

そうなってくると、著者が見ている光景が、俄然気になってくる。
何を見ているのか?
どう楽しんでいるのか?

そーゆーのが、エッセイを通して読めたりするワケです。

例えば、自分が「ぶっ飛んでるな」と思ったエピソード。
飛行機に乗りすぎて「悪天候による揺れ」に免疫がつくと、「もっと激しい揺れを好むようになる」という話。

天気が悪い日にふらっと空港に行き、「行き先」に関係なく、「条件付きフライト」(悪天候によって引き返したりする可能性があるフライト)のチケットを選んで買う。
主翼後方の窓際席を選び・・・

弾性限界ぎりぎりの主翼のしなりっぷりに興奮したり、コクピットの中はさぞかし緊張感に溢れているんだろうと想像が付く、補助翼の小刻みな動きに注目

なるほど飛行機って、そう楽しむのかッ!!

とは、ならない。
一般人は、決してならない。

しかし、読んでて面白い。

同系統で秀逸なのが、「パスポートが必要な名古屋」の話。
仕事で普通に東京から名古屋に行くのがつまらないので、色んなルートを試す。

羽田-沖縄-名古屋、羽田-女満別-名古屋、羽田-香港-名古屋、etc・・・
それぞれのルートの「良さ」が具体的に解説される。
読んでるこっちとしては、なるほど、なるほど、と引き込まれる。

そして最後に、

「羽田-フランクフルト-名古屋」。
名古屋に行くのがこれほどアガるルートもないでしょう。

という。

このルートの「アガる理由」も1ページ使って具体的に解説(笑
面白かったです。

その他、飛行機に乗りまくっている著者ならではの観察眼による、CAさんとの機内交流?話。
機内あるあるネタや、著者と同様に搭乗回数が多い「常連客」の振る舞いについてのコラム。

いやー、面白かったですね。

万人に勧められるかどうかでいうと、ちょっとアレなんだけど。
少なくとも、いわゆるSFC修行/JGC修行をやったことがある・やろうとしている場合は、「変な乗り方」という意味で被ってくるところがあるので、共感して「クスッ」となるところが多くなるかもしれない。

そーゆー「修行」についても、「そっと背中を押してくれる」感じのコラムも1本、入ってました。

ちなみに本書は全て機内で書かれたエッセイ集らしいので、修行中の機内で読むと雰囲気でるかもしれません。
どんな雰囲気がでるのか分かりませんが。

ちなみに、第2弾で↓も出ている。

パラダイス山元の飛行機のある暮らし―――年間最多搭乗1022回「ヒコーキの中の人」が贈る空の過ごし方

パラダイス山元の飛行機のある暮らし―――年間最多搭乗1022回「ヒコーキの中の人」が贈る空の過ごし方

こっちは個人的にそれほどアレなんだけど、故・金子哲雄氏との交流を書いたエピソードなんかは、割とグッとくるものが。

そんな感じ。

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