熊本の喫茶店「珈琲アロー」。79歳のマスターがハンドドリップで紡ぎ出す、「琥珀色」のコーヒー。

熊本の繁華街に、琥珀色のコーヒーを出す喫茶店があるという。

その名も、「珈琲アロー」。


創業は1964年、東京オリンピックの年。

79歳のマスターが1人、ほぼ無休で営業。


「ほぼ無休」?


79歳で?


ほぉ。。。


そして、その「琥珀色」のコーヒー。


美味いらしい。

全国のコーヒーマニアが、こぞって訪れるという。

食べログ


しかし、「琥珀色」とはなんだ。

半透明ということか。


どんな味なんだ、ソレは。

色々分からない。


おーけー。


行ってみよう。


場所は熊本市内、花畑町の銀杏通り。

夜の繁華街に、「アロー」の看板を発見。

Googleマップ



この日はもう閉まっていたので、翌日の昼に再訪。

店は1Fにあり、矢印(アロー)の看板が目印。



お店に入る。

狭い店内に、L字型のカウンター席のみ。



椅子に座ると、何も言わずともコーヒーをいただける。

メニューはホットコーヒーのみなので、注文が不要なのである。


店内には、カサブランカの花。

クラシックな音楽が流れる店内。



マスター、とても79歳には見えないくらいに若い。

ハンドドリップで、コーヒーを注ぐ。



これがそうか。


琥珀色のコーヒー。


なんだか、紅茶のような風貌。


なぜ黒くないのか?

コーヒー豆が、焦げてないから。


焦げたモノは、体に良くないし、美味しくない。

というのが、マスターの考え。


コーヒー豆を、ほんの少しだけ焙煎。

豆が黒く焦げない程度の、超浅煎り。


その代わり一度の抽出に、大量のコーヒー豆を使う

厳選した、良いコーヒー豆を。


それが、この透明感の秘密らしい。


早速、飲んでみる。


口に入れた瞬間。

麦茶のような、香ばしさ。


しかし、まろやかな舌触り。

甘みが、舌に残る。


舌に残るというか、グングン体に浸透してくる。

なんだ、この浸透力は。


不思議な味だ。

いつも飲んでいるコーヒーとは全然、別モノ。


雑味がない。

「焙煎されたコーヒー豆」の匂いも微か。


ただ、「ふくよかな味わい」というんだろうか?

口内での「刺激」が少ないながら、甘みやコクを感じる。


口コミをみると、「お茶みたい」と感じる人も多い模様。

確かに、お茶っぽい(そして「薄い」と言えば、薄い)。


個人的には、白湯を飲んで「美味い!」と感じる時の味に、「コーヒー感」がプラスされたような感覚?

体にスゥッと入ってきて、何杯でもイケちゃう感じの。


これ、ハマるかハマらないかは、人によりそうだ。

自分は、ハマった。


なんだコレ、うまい。

マスター、おかわりをください。

(×500円)


店内の雰囲気と、マスターの人柄も魅力。



マスター、どうみても「人のいい、おじいちゃん」。

しかし、喋り出すと、止まらない。


おしゃべりで客を楽しませてくれる、そのサービス精神。

ノッてくると熊本弁が混じってきて、だんだん意味が分からなくなる笑


しかし、マスターが落ち着いた声でマシンガントークしているのを見ているだけで、こっちは楽しいのである。


隣に座っていたお客さん(女性)の、会計時。

コーヒーは1杯500円、2人連れなので千円。


マスター(79歳)、「はいはい、お会計は100万円ね」。


100万円・・・だとッ!!


お茶目じゃないか。


女性「あらまぁ!」と一声。


分かる。適切なリアクション。


女性「一桁少ないけど、これで。」

そう言って、「千円札」を差し出す。


な・ん・だ・と!!


まさかの、切り返し。

客もまた、デッキに手札をオープンしやがった!

いつの間に、そんな手札をドローしていた・・・。


しかし、どうなる?

このデュエルの行方は・・・。


俺氏だけが、なぜかドキドキしている。

コーヒーを味わう振りして、薄目で観戦。


マスター、スッと千円を受け取る。

そして笑顔で、「またきてね」。


・・・ッ!!


スルーしたッ!!


いや・・・


もしや、ここは俺氏が知っている数字空間ではないのか?

100万円の一桁下は、千円の世界なのか、ここは?


つまり・・・


昭和?


なるほど。

どうりで、妙に落ち着く空間だと思ったぜ。


この、タイムスリップしたような、懐かしい純喫茶空間。


実に、いい。


ここはまた是非きたいな、と。


そう思いました。


青森「コーヒーの街 弘前」で、150年前に日本の庶民が初めて飲んだ「藩士の珈琲」を再現して飲む。そして「大正浪漫喫茶室」へ。


熊本のソウルフード「ちくわサラダ」は、なめてるとヤラれるから。


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