バンコクのコールセンターで働く「日本人」の置かれた環境と実態を描く圧巻のルポ本

バンコク、コールセンターで働く日本人

バンコクのコールセンターで働く「日本人」を取材した本を読んだ。

だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人 (集英社学芸単行本)

だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人 (集英社学芸単行本)

  • 作者: 水谷竹秀
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/11/24

そのコールセンターでの業務は、日本語のみ。
タイ語は不要。

日本の会社がアウトソーシングするコールセンター業務を、バンコクで受ける形。

電話をかけてくる客は日本人、応答するタイのコールセンター側も日本人。
ただし客側は、電話の向こうのオフィスがタイにあるとは毛頭気付いていない。

いずれにせよ日本語で仕事ができるのであれば、「海外で/タイで働いてみたい」という場合に良さそうな気がする。

ただし、日本の企業がわざわざタイにアウトソーシングするからには、日本で同じ業務に就くより給与水準が低くなる。

タイの定める(日本人の)最低賃金は5万バーツ/月(約15万円)だが、コールセンター業務など一部の認可された業務はそれを下回ってもOKとなっているらしい。
コールセンターの業務でいうと、相場は3万バーツ/月(約9万円)

物価の安いタイなら暮らせないこともないが、贅沢はできない。
また年金の支払いなどは別途捻出する必要がある。

経済的には、なかなか厳しいらしい。

そういう日本向けのコールセンターがバンコクにいくつかあり、だいたい500人くらいが働いている。
人の入れ替わりが激しいので、経験者を含めると数倍~に膨らむ。

本書では、そうした「バンコクのコールセンター」で働く人々の実態を丁寧に取材したもの。

どんな人が、どんな思いで働いているのか。
そして、その後どうなったのか。

多くは、日本の社会から弾かれるようにしてバンコクにやってくる。
バックグラウンドはさまざまながら、いろいろ屈折した思いを抱えることが多いらしい。

そこら辺をグイグイ追っていく本書は、ズッシリと重みのあるルポに仕上がっていた。
個人的には、近年稀に見る良書でした。

現代のような時代にあっては、「社会から弾かれるかどうか」というのは紙一重でしかないというか、誰にだって起きえるコトだと思うけど。
それが起きた場合の一端/先端として、「バンコクのコールセンター」というモノがあって・・・

無論、本書が取りあげている側面は「コールセンター」の一側面でしかないと思うんだけど。
つまり、もっと普通に「満足して働いている」という人もいると思うんだけど。

それはそれとして。

なかなか重みのある一冊でした。

そんな感じ。

tonogata
tonogata

4件のコメント

  1. 私も最近読みました。ページも多くたくさんの実例が載っていて読み応えありました。
    同じ著者が書いたフィリピンで暮らす困窮日本人を書いた「脱出老人」「日本を捨てた男たち」も良かったです。
    浜なつ子が書いたフィリピーナと結婚した日本人シリーズも良かったですが、ここ10年以上は書いていないみたいで…。
    8年くらい前までは外こもり関連の本を含め沈没日本人のルポは多かった気がしますが、最近本当に減ってしまった気がします。

  2. どもども。
    今回のコールセンターのは、象徴的な職場に対象を絞っているという意味で、なかなか斬新でした。
    浜なつ子氏の本は読んだことないですが、amazon見た感じ、アジア系の本をたくさん出してる作家さんなんですね。
    沈没系の本はたしかに、最近みなくなりましたね。底流にあるバックバック旅行的なカルチャー?がなくなったからかもしれませんが。。。

  3. よく言う「底辺への競争」って奴でしょうが、コスト削減もここまで行くと何か神風特攻隊のような悲哀がありますね。カードのコールセンターなどで喋り方が少しなまっていると「沖縄かな?」くらいは思っていましたが、バンコクですか。勉強になりました。暇があれば読んでみます。

  4. どもども。
    500人という規模的にいって、バンコクのコールセンターにあたることは、そうそうない気がします。大抵は、国内か、フィリピンとかでしょうかね。。。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です